苫小牧市で二酸化炭素(CO2)を有効利用するカーボンリサイクルの事業化を検討するデロイトトーマツコンサルティング合同会社(東京)が「苫東GX HUB(グリーントランスフォーメーション・ハブ)構想」をまとめた。国の調査業務による策定で、再生可能エネルギー活用や水素サプライチェーン構築などで、苫小牧東部地域をカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ、CN)実現のモデルケースとするよう提言している。
GXは化石燃料をクリーンエネルギーに転換し、社会経済システムの変革などを目指す取り組み。同社は2021年度から石油資源開発(東京)と「苫小牧産業間連携検討会議」を設置するなど、苫小牧のカーボンリサイクル実現を推進してきた。今年度は国土交通省から苫東地域のCN推進調査業務も受託し、その一環で同構想を策定した。
昨年10~12月に国や道、苫小牧市など関係者と意見交換の場を3回設け、苫東地域の製造業など42事業所にアンケート調査するなどし、苫東地域の可能性を探った。苫東地域が物流の拠点やメガソーラー(大規模太陽光発電設備)の適地である背景などを踏まえ、脱炭素社会実現に不可欠な再エネ導入などを、新たな産業誘致につなげる視点でまとめた。
構想では「太陽光の地産地消」など再エネ導入を進めて電力供給網を拡大。水を電気分解して生産する「グリーン水素」のサプライチェーン構築、CO2を回収、貯留、有効利用する技術「CCUS」など、苫小牧やその周辺で進められている他事業と連携し、立地企業の脱炭素化を図る。さらに電力使用量の増加が見込まれるデータセンターを、誘致候補産業の一つと位置付けた。
苫東地域の太陽光発電設備能力は現在約236メガワットで、将来は800メガワットの導入が可能とする一方、地域内の高圧送電線の空き容量が少ないため、事業者が自営線で電力を供給するPPA(電力販売契約)を有力とするなど、地域の特性を踏まえた内容になっている。同社は「提案を具体的に進めることで構想の実現、脱炭素社会実現に貢献していく」と強調する。
株式会社苫東(辻泰弘社長)はGXに着目し、現在策定中の中期目標(23~25年度)で新たに位置付けようとしているとあり、地域内でGXが加速しそうな動きを歓迎。辻社長は「ダイナックスがPPAで太陽光発電を始める予定など、苫東では再エネ導入が進んでいる。脱炭素社会に貢献できる地域」と強調し「森林資源も活用しながら、GXにスピード感を持って取り組みたい。地元と連携してCN実現を進める」と意気込んでいる。
















