千歳市の支笏湖の湖面が鏡のように風景を映す「鏡面現象」を観光資源に活用できないか―。公立千歳科学技術大情報システム工学科4年生の小田切声龍さん(22)は卒業研究でこのテーマに取り組み、鏡面現象の発生を予測するシステムを考えた。同4年生の河村健生さん(22)は鏡面現象の画像を配信するサービス構築に挑んだ。2人とも観光資源に活用する可能性は示せたものの「実用化にはまだデータが足りない」と、さらなる研究の必要性を指摘している。
「鏡面現象」は晴れて風がない日に、ないだ湖面が鏡のように山々や青空、雲を上下対称に映し出す現象で、幾つかの気象条件が重ならなければ見られない。2人はまず気象観測データの収集から着手した。
同市モラップのキャンプ場内で環境省のカメラが1時間置きに配信している画像データに加え、昨年5~9月の間、独自に定点カメラを設置。5分ごとの湖面も撮影した。併せて、湖畔近くの宿泊施設敷地内に気象観測機器を置き▽気圧▽気温▽湿度▽風速▽風向き―を5分置きに観測し、30分間の平均値をデータ化した。撮影した計約2万5000枚の画像から鏡面現象の有無を分析。月別の発生割合は4~6月が30~45%と高く、7~9月は13~23%、1~3月は0~数%にとどまっていることが分かった。
さらに小田切さんは、AI(人工知能)を使った学習用ソフトに観測データを地道に入力し、予測システム開発を目指した。30分後に現象発生の有無を見極められるか検証したところ、的中率は朝が8割程度。昼や夜はそれぞれ3割、6割と低かった。小田切さんは「風だけでなく、温度や季節の影響も大きそう。今回観測できなかった水温も分かれば、精度はさらに上げられるのでは」とみる。
河村さんは観測データに加えてインターネット上の画像データも集め、同様のソフトに入力。鏡面現象が発生しているかどうか判別するシステムを構築した。湖以外にテントなどが映り込むと判別精度が極端に下がったが、湖だけで判別する機能も持たせるなどの工夫で、約9割まで性能を上げた。河村さんは「小まめな情報発信によって、観光に生かせる可能性は十分あると思う」と手応えを感じている。
2人は研究成果を基に卒業論文を執筆したが、実用化にはデータ不足が否めないとし、「自分たちの卒業後も研究を引き継いでくれる人がいたら」と期待をにじませた。



















