5 子育て支援 コロナ・物価高 家計を直撃 先行き不安に苦悩きめ細かな対策を

5 子育て支援 コロナ・物価高 家計を直撃 先行き不安に苦悩きめ細かな対策を
苫小牧市内で読み聞かせイベントを楽しむ親子。安心して子育てができる社会の実現が求められている

 「灯油代が払えず、ストーブが使えない」「家賃を滞納し、退去を迫られている」「子どもの学費が払えない」―。

 苫小牧市の総合福祉課窓口には連日、子育て中の親から切実な相談が寄せられている。コロナ禍の長期化に加え、記録的な物価高が直撃。生活費や教育資、光熱水費、おむつ代やミルク代などが家計を圧迫し、限界を感じた市民が「何か手だてはないか」と相談するケースが多いという。

 生活困窮者への公的支援としては、生活保護や家賃相当分を給付する住居確保給付金、当面の生活費を無利子で貸し付ける生活福祉資金などがある。コロナ禍以降、国は緊急給付金を繰り返し支給するなど、低所得の子育て世帯に予算を手厚く配分してきた。

 しかし、同課によると、相談者の中には持ち家があったり、夫婦ともに仕事をしていたりと、少し前まで家計に問題が無かった人も。収入や所有財産などの条件上、どんなに生活が苦しくなっても、すぐに支援対象にならない場合も多いという。

 企業などから余っている食品を集め、必要とする人に提供する団体フードバンクとまこまい(光洋町)にも、昨年末ごろから子育て世帯の問い合わせが増えた。夫婦共働きという人が「うちも食べ物をもらえますか?」と、恐る恐る訪ねて来ることもあるという。

 松崎愛代表(40)は「コロナ禍と物価高のダブルパンチで、みんなギリギリの状態。進級や進学で出費が増えるこの時期、フードバンクのニーズも高まるだろうが、手元にある寄贈品だけで賄いきれるか不安」と漏らす。

     ◇

 「経済的なプレッシャーで育児中の親のストレス値は確実に上がっている」―。

 双葉町で子ども食堂を運営しているNPO法人「木と風の香り」の辻川恵美代表(42)は危機感を抱く。先を見通せない不安といらだちを募らせている親を手助けするため、「給付金のような一時的、経済的な支援だけでは不十分なのでは」と指摘する。

 「解決策を一方的に示されるよりも、気持ちに寄り添って、話に丁寧に耳を傾けてほしいと願っている人もいる。傾聴の気持ちをみんなが持てるような働き掛けも、子育て支援になるはず」と力を込める。

 市社会福祉協議会も昨年8月、支援を必要としている子育て世帯に食品などを届ける「こども宅食事業」に着手した。地域福祉課の職員らが日々、子育てと仕事で疲れ切った上、経済的な問題に悩む親と向き合っている。

 千寺丸洋課長(53)は「疲弊して余裕をなくしているためか、『子どもがかわいく思えない』とこぼす人もいる」と話す。同事業は食品の提供をきっかけに、親子の孤立を防ぐことも目的の一つ。「声には出さないが、困っている親は、市内に潜在しているはず。きめ細かな支援が急がれている」と話す。(終わり)

 ※企画は報道部・姉歯百合子、金子勝俊、河村俊之、室谷実が担当しました。

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