次世代半導体の量産を目指す新会社ラピダス(東京)が、千歳市に工場を建設する。新たな産業の拠点として、政府や自治体と共に環境整備を進める計画だ。経済安全保障上の重要性が高まる先端半導体の確保に向け、官民がどう連携していくのか。ラピダスの東哲郎会長と千歳市の山口幸太郎市長に話を聞いた。
東会長 産業基盤形成へ
―量産化へのロードマップは。
2027年の事業化に向け、24年末までに最先端の半導体製造装置をそろえ、25年に試作ラインが動く形を目指している。専門化された領域で最適な半導体を開発、生産していく。スケール(量)より開発から設計、生産までの速さを優先したい。
―北海道を選定した理由は。
将来的に土地が拡大できる。空気の良さや豊富な水、電気などのインフラ環境もあり、地方自治体の強力なサポートが得られることも重要。海外人材が住むことを考えると、外国の人が訪れたい地域であることも大切な要素だ。
―具体的な拡大戦略は。
先端半導体の迅速な生産を支えるため、千歳市に半導体製造装置や材料、顧客など国内外のメーカーが集まる最先端の産業基盤を形成したい。米ニューヨーク州にある半導体の研究開発拠点がモデルだ。その必要性について地元の理解を得るための活動をしていきたい。
―日本の半導体産業の課題は。
(スマホなど最終製品の)競争力が非常に弱いと同時に、基盤となる先端半導体の生産拠点がない。日本でいざ何かをつくろうとしても、先端半導体を生産する台湾の受託製造企業の主要顧客はアメリカのIT大手で、日本メーカーの優先度は低く、将来を考えると極めてリスクが高い。デジタル社会の基礎になる半導体を日本でつくり、競争力や産業の基盤を構築したい。
山口市長 インフラ整備に全力
―ラピダスの工場建設地に千歳市が選定された。
千歳は空港があり、水が豊富で、平たんで広々とした土地がある。まずは約70ヘクタールを提供したが、将来的に100ヘクタールに拡大できることも評価されたのではないか。
―期待感は。
世界と競争するような会社が来る。ただ土地を提供するだけではいけないため、それに見合うようなまちづくりをしなければならない。これは最大の課題でもある。ラピダスの進出で千歳のまちがどう変わり、どんな恩恵がもたらされるか市民に分かってもらうことも大事だ。いろいろな広報機会を通じて伝える。
―今後の支援は。
工場建設に向けて、用地の測量や水道管の敷設など基礎インフラの整備を行う。2023年度の補正予算に計上した。25年の試作ライン稼働まで時間との勝負だ。量産体制になると、さらなる水や電気の整備が必要になる。
―人材や住環境の確保は。
市内にある公立千歳科学技術大学で半導体に関わる人材育成ができるか検討する。また、今後は建設関係者が来るし、量産体制に入るとさらに多くの作業員や技術者がやってくる。定住場所が市内で間に合うか検討するとともに、近隣自治体との協力も必要になってくるだろう。
ラピダス新工場「大きな一歩に」鈴木知事がコメント
次世代半導体の国産化を目指すRapidus(ラピダス、東京)が千歳市に建設する新工場に対し、政府が25日、新たに2600億円(累計3300億円)を補助する方針を決定したことを受け、鈴木直道知事は「前例のない壮大なプロジェクト実現に向けて、大きな一歩を踏み出すことになる」とコメントを出した。
知事は「これにより、いよいよ千歳市におけるパイロット(試作)ラインの基礎工事が始められることに加え、研究者の育成や量産化に必要な装置・各種システムの開発も本格化する」と強調。道としては今後も「同社と事業計画を共有しながら用地や用水、電気などインフラ整備や人材確保など多岐にわたる対応に、これまで以上にスピード感を持って取り組んでいくため、サポート体制を強化していく」との姿勢を示した。



















