身寄りなし問題が深刻化、対策に乗り出す苫小牧市

身寄りなし問題が深刻化、対策に乗り出す苫小牧市
「身寄りなし問題」をテーマとした初の研修で意見交換する出席者

 身寄りや保証人がいないため、社会的支援などを受けられない「身寄りなし問題」が苫小牧市内でも医療、介護、福祉などの現場で深刻化している。引き取り手のない遺体を市が火葬、埋葬するケースも急増中。市総合福祉課は対人支援に当たる専門職はもちろん、多くの市民がこの問題に関心を持つことが課題解決の鍵と見て、対策に乗り出した。

 「身寄りなし」とは家族や親族が全くいない人のほか、疎遠で交流がない人、さまざまな事情から支援を受けられない人を指す。

 市によると▽入院時や介護施設入所時のペットの世話▽入院・入所先で必要な物品を購入して届ける▽亡くなったり、介護施設に入所したりした際の居室の明け渡し▽葬儀や遺品整理、各種サービス解約など死後の事務―などをしてくれる家族らがおらず、当事者や関わった人が困るケースが目立っているという。

 市総合福祉課によると、引き取り手のない遺体を市が火葬・埋葬した件数は年2、3件だったのが、2019年度は12件に急増。22年度も15件に上った。

 多くの場合、市や医療機関、介護施設、地域包括支援センターなどが本来業務の枠を超えてこれらの問題に対処しているが、市総合福祉課は「担当者が個人的に負担を丸抱えし、何とかしのいでいるのが現状」と指摘。高齢化が進むと「この問題はさらに深刻化する」と危惧し、市社会福祉協議会やとまこまい成年後見支援センターなどと対策へ本格的に動きだした。

 その一環で5月末、市民活動センターで相談支援専門員や地域包括支援センターの職員、医療機関の相談員など在宅生活を支える人たちを対象にした研修会を初開催。約110人が出席し、当事者が入院したり、亡くなったりしてからではなく、意思や記憶が明確なうちに必要な情報を集め、情報共有する大切さをグループワークなどを通じて確認した。

 また、市民向けの啓発活動として広報とまこまい6月号に、「『もしものとき』困らないために~今からできること」と題した見開きの特集記事を掲載。住まいの確保や金銭管理をはじめ身寄りがないことで生じ得る諸問題に触れ、相談窓口や今からできる準備、ペットの一時預かりや成年後見制度などのサービス、制度なども紹介している。

 市などは7月にも2回目の研修を開き、在宅支援に当たる人が必要な情報を収集する上で役立つチェックリストを作成する方針だ。

 市介護福祉課は、身寄りなし問題について「本人が一番つらい思いをしている」と強調。「多くの市民がこの問題に関心を寄せ、つながり合って対応に当たることが必要」としている。

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