官庁の周辺には業界用語や流行語のようなものがある。カタカナ語も官庁の生まれが多いといわれるから不思議はないか。この間、ニュースなどで頻繁に使われる言葉に「ひも付け」がある。新聞用字用語ブックには組みひも、ひも付きなどは載っているがひも付けは見えない。手元の簡便な辞典には、ひもを「女性を働かせて金を取り上げる情夫」。ひも付きを「女性に情夫がついていること」など俗っぽいものや、怖い語釈もある。
ひも付けは「名前や住所、口座番号などを結び付けること」と解釈すればいいだろうか。国が推進するマイナンバーカードという新制度で、それが正しく結び付けられていない事実が今、続々と明らかになっている。証明類を申請したら他人のものが交付された例が相次ぐ。この程度の精度で銀行口座までひも付けられているとすれば恐ろしいことだ。カードを返納する人が増えているという報道もある。国は医療保険証との統合も目指しているが、漏れ出る個人情報は格段に増える。国は謝罪を繰り返して総点検を約束するものの、完了のめどは示せない。
国の第三者機関・個人情報保護委員会が一連の問題を受けデジタル庁の立ち入り検査をするという。さて、国にはどんなひもを付ければいいのだろうか。(水)









