無礼者!

無礼者!

 自分の老後を詳細に、厳密に想像したことのある人はどれくらいいるだろう。自分はせいぜい60歳前後のことを大ざっぱに想像したことがあるだけ。死の年齢も死因も、治療や闘病も具体的に想像したことがない。実の父母と義理の父母の4人を送ったが3人目の孫と入れ替わるように50代で急死した義母の死は別として、申し訳ないが考えたのは葬儀にまつわる雑多な知識や知恵だけ。老いと向き合う年齢になって無知に慌てている。

 先日の全国紙1面下の書籍広告を見てドキッとした。書名は「70歳が老化の分かれ道」。余白には「一気に衰えるか その分岐点は70歳にある」「70歳からの生き方が、あなたの老いの速さ、寿命を決める」などと恐ろしい言葉が並んでいる。思わず自分の年を数え確かめた。

 子どもたちと、あれこれ話をして分かるのは、彼らは親の最期をそれとなく考えているらしいこと。老後のありようや親の死の順序、残る親のその後、不動産はどう処理するかなど。親から意向や注文を伝えたことはない。本人たちを抜きで、頑固だわがままだと人格の批評もしているらしい。この無礼者め!とは思いながら、まあ当たっている気もする。

 旧盆が近い。北海道も夏本番。炎暑の地から家族が課題を運んでくる。(水)

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