被爆者の証言を語り継ぐ広島市の被爆体験伝承者・村上俊文さん(68)の講演会が29日、苫小牧市文化交流センターで開かれた。市の非核平和事業として初めて企画され、市民ら約50人が参加。村上さんは12歳で被爆した故・兒玉光雄さんから聞いた原爆投下直後の壮絶な状況や、恒久平和への願いを市民らに伝えた。
原爆投下当時、兒玉さんは爆心地から約870メートル離れた木造校舎におり、崩れた校舎の下敷きになった。校舎の中から抜け出して数人の友人を助けることができたが目の前で力尽きていく友人や、がれきに埋もれ生きたまま火に焼かれて亡くなった友人もいたという。
兒玉さんは迫る炎と煙から逃れ自宅を目指す途中、死体が浮かぶ川や血に染まった人の行列など、地獄のような光景を目の当たりにした。
助けを求める女性に足をつかまれたがとっさに振り払ったことに触れ、村上さんは「兒玉さんはこの時のことは今も忘れられないと話していた」と、深い後悔として心に刻まれていた様子を振り返った。
兒玉さんは被爆が原因で染色体に異常が生じ、胃がんや皮膚がんなどの重複がんを発症。闘病しながら88歳で亡くなるまで平和を訴える活動を続ける中で、「自分と同じような辛い思いを誰にもさせたくない」と繰り返していたことも紹介した。
その上で、村上さんは自身の思いとして「今を当たり前と思わず、一人ひとりが平和な社会をつくる行動を積み重ねるべき。社会に無関心でいてはいけない」と訴えた。
講演会に参加した苫小牧澄川小4年の奥田湊太さん(10)は「今まで知らなかったことを知れてよかった。今自分が平和のために何ができるのだろうかと考えた」と話していた。
















