苫小牧市で水素の製造、貯蔵、輸送、利用までのサプライチェーン(供給網)を構築する実証事業が始まる。投資会社スパークス・グループ(東京)が市内で計画するモデルが、環境省の実証事業に採択された。市の廃棄物処理施設「沼ノ端クリーンセンター」隣接の市有地に来春、水素製造の水電解装置を着工する計画。来年12月にも水素の製造を始め、公共施設や近隣企業に供給したい考えだ。
実証事業は全国13カ所目で、水素製造能力は国内最大規模という。事業期間は今年度から2025年度までの3年間で、事業費は約25億円。同社子会社が事業を総括し、市や各企業と協力して実施する。
クリーンセンター隣接の市有地に、水素製造の水電解装置を整備。同センター埋め立て処分場内に太陽光パネルも設置する。同センターのバイオマス発電の余剰分電力も使い、再生エネルギー由来の水素を最大で年100万N(ノルマル=標準状態1気圧、零度)立方メートルを製造。一般家庭300世帯分の年間消費電力に相当する。
水素製造所の運用管理や供給地への運搬は、基礎化学品メーカー北海道曹達(沼ノ端)が担当。水素は同社事業所内やトヨタ自動車北海道(勇払)の福利厚生施設で、ボイラー燃料などに利用する。市有施設オートリゾート苫小牧アルテン(樽前)には、水素で発電する燃料電池を設置し、発電で生じる廃熱を温泉の加熱に充当。二酸化炭素(CO2)を排出する既存の化石燃料の使用量削減につなげる。
スパークス・グループは、苫小牧を事業地に選んだ理由について「水素の需要地として有望な商業港、空港、石油コンビナート、住宅街が集約され、将来的な(CO2を回収、貯留する技術)CCSの拠点」と説明。市も「クリーン水素を使った実証事業。新たな道を切り開いてくれる」と歓迎し、市が掲げる「ゼロカーボンシティ」宣言にも資する同事業への協力に力を入れる考えだ。
同社はさらに、道内は再エネ開発で広大な土地が確保できる一方、蓄電池の設置要件など電力系統の制約がある点を指摘。再エネを水素に変換することで課題解決を図る狙いで、「電力系統に依存しない再エネ水素の大規模サプライチェーンを確立し、北海道を将来的に水素アイランドにしたい」と意気込んでいる。
















