「心はずっとなくならない」 若年性認知症の下坂さん講演

「心はずっとなくならない」 若年性認知症の下坂さん講演
共生社会への思いを語る下坂さん(右)と町永さん

 北海道医療大学(石狩管内当麻町)の一般公開講座「福祉と当事者のリアル」が28日、苫小牧市東開文化交流サロンで開かれた。40代で若年性アルツハイマー型認知症と診断され、絶望や葛藤の末に自分らしい生活を手に入れた京都市在住の下坂厚さん(50)が登壇。「認知症になったら人生が終わり、というイメージを少しでも明るいものに変えてもらえたら」と語った。

 同サロンと市東地域包括支援センターの共催。同大学の客員教授を務める社会福祉法人ゆうゆう(同町)の大原裕介理事長が、全国各地の当事者などを招いて行っている講座の一環で、市民ら約70人が参加した。

 下坂さんは46歳で若年性認知症と診断され、「仲間に迷惑をかけたくないし、変わっていく自分を見せたくない」と興したばかりの会社を退社。社会に自分の居場所がなくなったように感じ、自ら命を絶つことも考えたという。

 しかし、認知症初期集中支援チームの紹介でデイサービスで働き、多くの高齢者と接するうちに「分からないことが増えても、心はずっとなくならない」と考えるようになった。同じ病気の人が前向きに生きる姿からも勇気をもらい、「絶望から抜け出すことができた」と語った。

 下坂さんは「認知症で価値観が変わり、人と助け合うことや生きていることの素晴らしさを感じられるようになった」と強調。インターネット上で写真の投稿を続けていることにも触れ、「写真撮影は記録であり、表現。環境が整えば認知症になっても楽しく暮らせることを今後も発信していきたい」と力を込めた。

 元NHKキャスターで福祉ジャーナリストの町永俊雄さん(76)=東京=も「認知症は社会をケアする」と題して講演し、「超高齢化社会を不安やおびえではなく、豊かに成熟していく社会として捉え、共生社会の在り方を考えるべき」と語った。参加者が講師2人を交え、認知症や共生社会について意見を交わすグループワークも行われた。

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