ある生徒から「学校を辞めようと思う」という相談を受けた。ささいな友人関係のもつれをきっかけに、最近居場所がないと感じることが増えたという。「もう少し一緒に考えよう」とは言ったものの、学校を辞めようが残ろうがそれ自体は大した問題ではないと思っていた。その心のもやもやとどう向き合えるのか、一緒に考えたかった。
どんなに気を使って言葉を尽くしたって、誤解されてしまうことは大人になっても多い。自分がどんな人間であるか、自分だってまだよく分かっていない時期にそんな悩みを抱えるしんどさを、かつて味わった。そして当時の僕はその悩みを乗り越えたかというと、ただただ表現の場に逃げた。
人によってそれは音楽かもしれないし、スポーツかもしれない。どんな表現だっていい、僕の場合はそれがたまたま文章だった。あらゆる表現活動は、人に何かを伝えるためだけにあるのではなく、自分自身のどうしようもない感情や経験を、とにかく自分の外側に出してみるという役割を持っている。悲しい時は悲しいと、うれしい時はうれしいと、人目を気にせず生々しく吐き出せる表現の中で、僕は孤独をいつしか恐れなくなった。
「写真うまいんだから、もっと写真撮って見せてほしい」と言うと、生徒の表情が少しだけ明るくなった。どんな環境にいても、表現はまず自分の居場所を作ってくれることを僕は伝えたい。
(厚真町地域おこし協力隊)
















