脱炭素化推進計画を策定 50年までの達成目指す 苫港管理組合

脱炭素化推進計画を策定 50年までの達成目指す 苫港管理組合
2022年に苫小牧港で行われた液化天然ガス(LNG)を船舶に供給する「LNGバンカリング」の実証試験。港湾の脱炭素化を目指す

 苫小牧港管理組合は、2050年までに苫小牧港湾地域でカーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出ゼロ)達成を目指す「苫小牧港港湾脱炭素化推進計画」を策定した。苫小牧港の目指す将来像として▽脱炭素化された港湾ターミナル化▽北海道や北日本への次世代エネルギーの供給拠点化▽二酸化炭素(CO2)を分離、回収、貯留、有効活用するCCUSの拠点や利用網の構築―の3項目を掲げた。民間企業も含めた港湾全体でCN化を進め、環境に配慮する荷主や船社から選択される港を目指す。

 計画の対象範囲は苫小牧港港湾計画と同様、主に西港区と東港区の海上と陸上の約163平方キロ。区域内でCO2を大規模に排出する事業者を中心に、脱炭素化に向けて取り組むほか、区域外でも港湾を効果的に使って脱炭素化を進める場合、対象に加えるなど柔軟に対応する。

 将来像を実現するための取り組みとして▽港湾オペレーションの脱炭素化▽港に生息する海藻など海洋生態系のCO2吸収効果を生かすブルーカーボン創出▽水素・アンモニアなどの効率的なサプライチェーン(供給網)構築▽再生可能エネルギーや水素、脱炭素燃料などを生かした産業集積―など七つの方針を示している。

 50年CN達成への具体的な目標として、港湾のCO2排出量を30年度までに、基準年の13年度(268万4000トン)比48%減の139万6000トンまで削減する。CO2排出量は20年度現在、258万6600トンで、内訳はターミナル内や出入りする船舶・車両から約6万8400トン、ターミナル外の工場や発電所などから約251万8100トン。

 ターミナル内で荷役機械や車両の電動化、CO2フリー電力の導入などのほか、フェリーにCO2排出量の少ない液化天然ガス(LNG)燃料の供給などの事業を計画に示した。また、出光興産(東京)、ENEOS=エネオス=(同)、北海道電力(札幌市)の3社による国内最大規模のグリーン水素サプライチェーン構築など、港湾を取り巻く最新の動向も取り入れている。

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 一方で課題もある。CO2削減量はこれまでの取り組みや施策では、現時点で13年度比約22%にとどまる。同組合政策推進課は「まだ計画の半分ほど。新たな(削減につながる)技術が出てくれば盛り込んでいく」と説明するが、現時点では目標の達成に見通しは立っていない。

 今後は水素を燃料とした機械や車両など新技術の進展により、大規模な投資も想定されるほか、石炭火力発電所でのアンモニア混焼、老朽化した石油火力発電所の廃止など、技術革新や従来事業の見直しも求められる。同組合は「今後は計画に基づきCNの取り組みが具体的に進む。少しでも貢献できるように企業をサポートしていく」としている。

 苫小牧港のCN推進を巡っては、22年度に苫小牧港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画を策定したが、22年12月の改正港湾法施行を受け、同法に基づく法定計画に移行することに。同組合や北海道開発局、民間企業などで「苫小牧港脱炭素化協議会」を組織し、23年度は計画の検討を重ねていた。

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