胆振、日高管内で唯一、生徒がレスリングの練習を積んでいる苫小牧高等商業学校の同好会が、昨年の発足から2年目を迎えた。27日には2年の中本温斗(16)が全日本ジュニア選手権大会(横浜市)出場を控えているほか、5月には生徒総会を経て部に昇格になる見通し。生徒たちは今夏の高校総体(インターハイ)出場を目標に練習にも熱がこもる。
道内におけるレスリングは過去に五輪選手も輩出した実績があるが、近年は競技人口の減少や役員の高齢化が進み、道内でレスリングがある高校はたったの5校しかないという。
同校の同好会立ち上げは昨年春、競技経験者で高校時代に国体出場の実績を持つ和田理志教諭が赴任したことがきっかけ。体力測定で適性を見抜いた当時1年生だった中本をはじめ、佐藤駿輔(16)、米村里騎(16)を勧誘し、会員3人で活動をスタートさせた。
とはいえ競技経験はおろか、活動場所もなく、体育館のステージに授業で使う体操マットにブルーシートを敷き、レスリングコートに仕立てるなどして練習を積んできた。並行して体力づくりにも時間を割き、入会当初2、3回程度しかできなかった懸垂も今では3人そろって毎日50回をこなすまでに力を付けた。
佐藤は「人と触れ合う機会が増えて、活動をやってよかった」と実感。米村も「これまであまり何かをやる気になったことがなかったが、レスリングに出合ってやる気が湧いてきている」と心の成長を感じながら、「インターハイで勝てるよう練習を怠らないようにしたい」と目標を掲げる。
和田教諭は「社会に出た時に何か武器があればと思い、こつこつ続けることで成功体験を積ませてあげたかった」と回想。中学時代には学校を休みがちなど困難を抱えていた会員もいるが、レスリングを通じて生徒たちの顔つきが変わってきており、「ちょっとずつ自信が付いてきたのでは」と目を細める。
今春には新1年生を迎え、練習にも一層力が入る。大会が控える中本は「たとえ今回勝つことができなくても、次につながるような結果を残したい」と張り切る。

















