苫小牧港・西港で川崎近海汽船(東京)の八戸発苫小牧行きフェリー「シルバーブリーズ」(8901トン)が座礁した事故から9日で1週間がたった。同社が「船の機器に異常は見つかっていない」としていることが分かり、専門家も人為的ミスの可能性を指摘する。国土交通省運輸安全委員会が2日間の現地調査を含め調べを進めるとともに、苫小牧海上保安署が捜査を続けているが、原因究明には時間がかかりそうだ。
苫小牧海保などによると、フェリーは2日未明、西港の苫小牧西防波堤灯台付近で消波ブロックに乗り上げ、制御不能になった。船首や船底に複数の損傷があったが自力航行でき、浸水や油の流出もなかった。乗員乗客にけがはなかった。
川崎近海汽船によると、「シルバーブリーズ」は8日現在、室蘭港の崎守埠頭(ふとう)に停泊しており、機械の不具合は見つかっていない。今後7~10日ほどの間に仮修繕と航行に必要な検査を受け、本格的な修繕の日程や場所の調整に入る。
海難事故に詳しい神戸大学大学院海事科学研究科の若林伸和教授は「知らず知らずのうちに浅瀬に近づき、乗り上げてしまったような座礁事故ではない。絶対に見えているはずの陸側に激突している」と驚く。
同教授によると、事故原因は「船体の問題」と「人為的なミス」の二つが考えられるが、自力航行が可能なことなどから船の構造に問題はなかったとみる。入港時は一般的に4、5人体制で安全を確認するとし、「誰かが気付くはずで、気付かずにぶつかるのは普通はあり得ない」と人為的なミスの可能性を指摘した。
一方で、札幌市内の運送会社で働くトラック運転手の60代男性は「『ががが、どーん』と地震のような衝撃で、いきなり止まった」と座礁時の状況を証言。「同僚は事故の直前、外の景色がいつもと違い、おかしいなと感じたと言っていた。船員はなんで気付かなかったのか」と不思議がる。運転手仲間では「船員全員が見逃すなんて考えられない」と話し、あり得ない事故だけに「機器に何か異常があったのでは」と推測しているという。
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運輸安全委は3~4日、現地に船舶事故調査官3人を派遣した。西港晴海埠頭に停泊中のフェリーを調べた他、船長ら乗員延べ10人弱から聞き取りを行った。船の機器類のデータも収集し、関係機関から座礁現場の図面などの提供も受けた。今後、同社への聴取も進めるが、結果の公表は1年以内を目指すという。苫小牧海保も業務上過失往来危険容疑の可能性を含め捜査しているが、昨年12月に苫小牧港・東港周文埠頭付近で起きた別の船社のフェリー座礁事故では、同容疑での書類送検に事故から約4カ月かかっている。
















