苫工、苫中央敗れる 全国高校選手権南・北海道大会

1回戦〔立命館慶祥―苫工〕立命館3回1死で犠飛、3走横谷生還し先制。苫工捕手は渡邊=11日、札幌円山球場

 第106回全国高校野球選手権記念大会南・北海道大会が11日、札幌円山球場で開幕した。室蘭支部代表の2校が1回戦に登場し、苫小牧工業は0―11の五回コールドで札幌支部の立命館慶祥、苫小牧中央は3―6で函館支部の函館大有斗にそれぞれ敗れた。札幌支部勢対決では国際情報が4―3で札幌第一を下した。

 10年ぶり33度目の出場となった苫工は三回に5点を奪われ、四回以降も6点を積み上げられた。2年ぶり8度目の出場で大会に挑んだ苫中央は一回に4点を失い、二回以降の反撃も届かなかった。

 室蘭のほか、札幌、小樽、函館の各支部予選を勝ち抜いた16チームが出場。夏の甲子園(8月7日開幕、阪神甲子園球場)進出を懸けて戦うトーナメントの1、2回戦は同球場で実施。20、21両日予定の準決勝、決勝はプロ野球パ・リーグ北海道日本ハムファイターズ本拠地のエスコンフィールド北海道(北広島市)に会場を移して行われる。

 ▽1回戦
立命館慶祥
00542―11
00000―0
苫小牧工業
(五回コールド)
(立)大西、仁平、田畑―安井
(苫)岡田、桑村、岡田―渡邊
🉁高橋、大谷(立)
🉂横谷、佐藤(立)
 苫工は立ち上がりの好機に無得点。1回先頭の泉田が四球で出塁し、伊勢が犠打。大上の右前打で一、三塁にし、1死後満塁の好機も後続が倒れた。逆に、三回に1死二塁から5失点。四、五回も得点圏に走者を置いたが実らなかった。
 立命館慶祥は主戦の大西が好投。得点機に長短打が出た。
函館大有斗
410000001―6
002010000―3
苫小牧中央
(函)長谷川―水島
(苫)藤原、渡邊大―日向
🉀能戸(函)
🉁能戸(函)渡邊光(中)
🉂風晴(中)
 苫中央の反撃が届かなかった。5点差を追った三回、2死から諏訪が内野安打して二盗。米田死球の後、渡邊光が右中間へ三塁打した。五回には四球で出た石黒を諏訪が犠打で送り、米田の左前打で1点。
 函大有斗は2点差に迫られた九回に能戸が左翼へ駄目押しのソロ弾を放った。
札幌国際情報4―3札幌第一

―苫工、主導権握れず
 11失点のコールド負けに苫工の平山監督は「ここまで打たれるとは考えもしなかった」と話した。主戦の岡田が集中打を浴びていく三回の守りの途中には主審に伝令を送り、相手の二走が、バッテリーのサインを打者に伝える様子があるとアピール。審判団が走者に訓告した場面もあった。「フェアプレーがあるはず」といぶかしそう。「もっと自分が早く気付いてあげられれば」と語った。
 打線は立命館の大西らを攻略できずに散発4安打。支部予選後はコンパクトに鋭く打つ―を再徹底してきたが、「変化に期待したけれど、打ち取られてしまった」と一回の逸機で主導権を握れなかったことを悔やんだ。
 主将で遊撃手の泉田は思い出になった全校応援に絶大な感謝を示した。「試合をする力になった」。今夏10年ぶりの円山に挑んだチームを評して「楽しくやろうとしていた」と振り返り、「2年生を中心にいいチームをつくり上げてほしい」と後輩に期待を託した。自身OBの平山監督は「伝統校の意味を1、2年生がどう考えてくれるか。間を空けずにここに帰ってきたい」

―苫中央、届かなかった反撃
 苫中央が反撃及ばずに屈した。渡邊監督は「初回がすべてですね」と努めて冷静に語った。主戦の藤原が制球に苦しみ、2打者押し出しなどで4失点の苦しい立ち上がり。無死で救援した左腕の渡邊大がその後の試合をつくったが、逆転できなかった。要所の長打が光った函大有斗の能戸を「主将が主将らしい仕事をした。背中で見せた」とたたえた。
 三回には3年生の遊撃手、渡邊光が2死一、二塁から右中間に2点適時打して、仲間を鼓舞。「外のストレート」を強くはじいた自分なりの打撃だったが、その後、追い上げは実らず逆転できないまま、戦いの道のりが終結した。「今のチームとしてはやり切ったと思います」
 一回途中からのロングリリーフで試合をつくったのが2年生の渡邊大だ。直球とスライダーで凡打の山を築かせて好投。だが、九回に函大有斗の能戸に駄目押しのソロ弾を喫した。悔し涙ながらに「これからもっとスタミナをつけたい」と闘志をたぎらせた。渡邊光は言う。「僕らが目標にした甲子園行きはできなかったけれど、後輩たちは行けると思います」。バトンが託された日となった。

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