元木、金メダルで親孝行

元木、金メダルで親孝行
女子62キロ級決勝、ウクライナ選手を攻める元木咲良(下)=10日、パリ(時事)

 元木は大一番で、積み上げてきた技術を披露した。先に相手にポイントを奪われた決勝。焦らず、五輪のために磨き続けた足首を狙う片足タックルの「ローシングル」から逆転に成功。第2ピリオドでもこの技を起点にポイントを重ねて試合を決めた。「たくさんの人に教えてもらって高めた技。これで金メダルを取ろうと思っていた」。会心の勝利になった。

 ここ数年で力を付けてきた。契機は2022年世界選手権。準決勝で敗れて結果は3位で「自分は弱い」と自信をなくした。そんな時、かつて膝をけがした際にリハビリを担当してくれたトレーナーに相談した。「自信がないことも強みだよ」。このアドバイスで意識が変わった。

 自信がないからこそしっかり準備をする。対策を入念にして試合に臨むことができる。何度も自分の得意技を練習して不安を解消。初の五輪でもその姿勢を貫いた。

 スタンドで父の康年さんが見守っていた。00年シドニー五輪代表。引退後はコーチも務めたが、世界チャンピオンを育てるという目標は果たせなかった。元木は、父がそれを心残りにしていたことも知っていた。

 「娘である自分がかなえることができたのは、一つの親孝行になったのかな」。レスリングを始めるきっかけを与えてくれた父へ、最高のプレゼントを贈ることができた。

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