進化を証明する泳ぎだった。男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)で木村が自己新記録の1分0秒90で連覇を果たした。スムーズな泳ぎ出しからスピードに乗り、最初の50メートルを先頭でターン。後半は少しペースを落としたものの「苦しいところを耐えれば、ベストが出る自信はあった」と胸を張った。
パラリンピック初出場は2008年北京大会。当時から金メダルにこだわり続け、4大会目の前回の東京大会でようやく獲得した。しかし、木村はそこで満足することはなかった。
パリに向けて助言を求めたのは、同学年のオリンピアンだった。五輪の女子200メートルバタフライで2大会連続銅メダルの星奈津美さんの力を借り、泳ぎを改良。上下動の少ないフォームを意識し続けた。「以前、自己ベストを出した時と比べて体力的な練習を積めていなかったが、記録を伸ばせた」。テクニックの改善がタイムに結び付いたことを実感した。
東京大会ではただ金メダルが欲しかった。11日で34歳になるベテランは今、「速く泳ぐ」という原点に返っている。「記録を上げることに気持ちを戻して、改めて水泳の楽しさ、面白さに気付けた」。最高の笑顔で連覇の喜びをかみしめた。

















