想像上の生き物など紹介 特別展「驚異と怪異」開幕 アイヌ民族博物館 白老

想像上の生き物など紹介 特別展「驚異と怪異」開幕 アイヌ民族博物館  白老
展示資料について解説する山中教授

 白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)で14日、第9回特別展示「驚異と怪異―想像界の生きものたち」が開幕した。世界各地で起きた天変地異などから想起された想像上の生き物の多様性と人間の創造力の源泉を探る内容で、祭具、衣装、絵画など約330点が並ぶ。11月17日まで。

 同館、国立民族学博物館(大阪)、千里文化財団(同)の主催。2019年8月、同民族学博物館で開催した内容の巡回展で、道内初開催。

 2部構成で、1部の「想像界の生物相」では、人魚や巨人、龍、かっぱ、てんぐなど想像上の生き物を、生息したとされる天、地、水の3つに分けて解説する。2部の「想像界の変相」では、未知の世界の驚異や怪異が、歴史上どのように整理され、創作の種となってきたか、作品と共に紹介している。

 巡回展ながら一部に独自性を打ち出し、千歳市美々で出土し、1979年6月に国の重要文化財に指定された縄文時代の動物形土製品(最大長31・7センチ、最大幅16・2センチ、最大厚9・8センチ)をガラスケースに入れて展示する。アザラシのようでありながら、横に寝かせると頭の突起がくちばしに見え、鳥が空を飛ぶ様子を表しているようにも見える。

 13日に開かれた報道向け内覧会で、同展を企画監修した国立民族学博物館の山中由里子教授(58)は「美々(びび)ちゃん」の愛称で親しまれているこの土製品などの展示資料について解説。「想像上の生き物から各地の文化に興味を持ってもらいたい」と呼び掛けた。

 白老町出身、在住のイラストレーター山丸ケニさん(30)が描いたアイヌ民話に登場するウエクル(人食い)のイラストや解説も並び、佐々木館長は「世界の想像の生き物たちとの出合いを楽しんで」と話している。

 期間中は、学芸員らによるギャラリートークや研究者の講演などが予定されている。

 16、23日と10月14日、11月4日を除く毎週月曜と9月24日、10月15日、11月5日は休み。入場料とは別に観覧料が必要だが、中学生以下は無料。

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