薬不足が深刻化 苫小牧市内医療機関「一刻も早く流通改善を」

薬不足が深刻化 苫小牧市内医療機関「一刻も早く流通改善を」
薬不足を訴える北星クリニックの島野理事長

 全国で医療機関が処方するせき止めなどの薬不足が深刻化する中、苫小牧市内の医療機関にも影響が広がっている。インフルエンザの感染拡大が広がり、せきなどの症状を訴える患者が増える中、通常通りの処方がなかなかできない状況。医療従事者からは「一刻も早く流通が改善してほしい」と切実な声が上がる。

「処方したくても…」

 「患者に処方したくても、できない」―。内科・皮膚科・小児科のとまこまい北星クリニック(拓勇東町)の理事長、島野雄実医師は1枚の紙を手にしながら窮状を訴えた。併設の調剤店から定期的に通知される処方薬の在庫一覧表だ。

 各薬の備考欄には「流通制限」の赤文字が並び、店内在庫を示す数量欄は「0錠」の記載もちらほら。解熱剤やせき止めの鎮咳(ちんがい)剤、たんを取る去痰(きょたん)剤は、通常通り処方するとすぐに枯渇する状態で、島野医師は「これほど少ないのは過去に例がない」と話す。

 薬不足は新型コロナ流行の第9波といわれた8月頃から慢性化。インフル患者も同じ頃から増え、発熱やせきに苦しむ患者が後を絶たない。「本当は全員に同じ量の薬を処方したい」と言うが、症状によっては漢方薬でしのいでもらうことも。「今後はさらにインフルが増える。早く薬の流通が戻ってほしい」と願う。

市医師会には切実な声

 沖医院(旭町)の沖一郎院長も「解熱剤やせき止めは本来、無くなるようなものではない」と指摘し、長い医師生活で初の事態に厳しい表情を見せる。処方期間を通常より短めに設定するなど、薬局側の負担軽減も見据えて対応している。

 沖院長が会長を担う市医師会にも、各医療機関などの「何とかしてほしい」との声が届いている。沖院長は「代用できる薬もある。大変だが、みんなで工夫しながら乗り切るしかない」と強調しつつ「国の薬事政策にも期待したい」と述べる。

市販薬への影響少なく

 薬不足は2020年以降、先発医薬品と同じ有効成分で低価格な後発薬「ジェネリック医薬品」の製造メーカーによる不正が相次ぎ発覚し、業務停止処分などで供給がままならなくなっているのが要因だ。

 厚生労働省は9月下旬、せき止めやたん切り薬の長期処方、過剰発注を控えるよう医療機関などに呼び掛けた他、10、11月には主要メーカーに追加増産を要請。9月末から1割以上、供給が増える見込み。

 日本製薬団体連合会が公表している「医薬品供給状況にかかる調査」によると、9月29日~10月12日調査で通常出荷が不可能な医薬品は22・9%に上った。

 日本医師会が8~9月に行った「医薬品供給不足緊急アンケート」では、北海道・東北エリアは86・1%の医療機関が「入手困難な医薬品がある」と答えている。

 ただ、市販薬への影響は少ない模様。コープさっぽろ(札幌)のコープドラッグでは、せき止め、総合感冒薬の一部で品薄になっているというが、同社は「安定的な入荷はできているので、安心してほしい」と呼び掛けている。

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