苫小牧市の剣道道場、至誠館の代表、渡辺光敏さんと妻・加代子さんが今年で剣道歴40年の節目を迎えた。ともに73歳。「これからも子供たちのために指導に力を注ぎたい」と剣道への思いを熱くしている。
1983年、当時33歳で剣道を始め、苫小牧の剣士を育ててきた。「最初は何も分からず、先生の教えをひたすら守って取り組んでいた」と懐かしむ。「一連の作法を覚えることから難しく、何より面をもらった時は痛いなと感じた」と笑顔で話す。
95年に日新剣道同好会の館長に就任し、指導者として歩みを進めた光敏さん。約40人ほどの生徒の指導に打ち込んだ。「剣道では心や精神面の教えも必要。指導の大変さを知った」
指導者として成長したい―と大阪に出向き、武者修行の末に2000年に剣道社会体育指導員初級の資格に合格。「子供たちの指導に役立つことをたくさん学んだ。剣道の奥深さにも気付けた」と振り返った。
02年に「真っすぐに素直に」を掲げ、現在の至誠館と改称し、同好会から本格的な道場へと移行した。
翌年に初めて道場の門下生が全国舞台に立った。2000人ほどが集まった武道館に光敏さんは「いろんな剣道が見られてすごかった」と驚いたという。少しずつ全国レベルの剣士が誕生し、道内最大級の赤胴大会で優勝者を出すなど教え子の活躍に「とてもうれしかった。基本はつまらないけど、基本にじっくり時間を使ってきたことで、立派な剣道を体現してくれた」と指導の手応えも感じた。
光敏さん、加代子さんそれぞれ病に倒れ、お互いに一人で道場を守る時期も経験し「子供たちのために、支え合ってここまでやってきた。感謝している」と口をそろえた。
理念として掲げる「正々堂々」「一志不退」の文字を揮毫(きごう)した面手拭いを教え子らにプレゼントするなど熱心に向き合ってきた渡辺夫妻。「相手にきちんと向き合う。自分の気持ちを真っすぐ伝えることで、おのずと立派な剣道になる。これからも体が持つ限り素晴らしい剣士を育てるために励んでいきたい」と意気込みを語った。

















