苫小牧市を代表する銘菓「よいとまけ」は今年、販売開始から70周年を迎えた。老舗の菓子製造・三星(糸井)の押しも押されもせぬ看板商品。「日本一食べづらいお菓子」との評も逆手に取り、販路を全国に拡大してきた。節目の今年はレモン味が出たり、アイスクリームになったりと、新規の事業や他社との連携も続々。同社は「さらなる展開を考えたい」と意気込む。
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よいとまけは、ロールケーキにハスカップジャムをかけ、グラニュー糖をまぶしてオブラートでくるんだ、独特の甘さと酸味が特徴のお菓子。現在は1箱(7切入り、250グラム)780円。1953年に販売を始めた。
初代社長の故小林正俊氏が「苫小牧を代表するお菓子を」と開発。王子製紙苫小牧工場で紙の原料となる丸太を、「よいとぉ、まいたぁ」の掛け声とともに搬送していた原風景をヒントに商品化したという。
同社がまだ苫小牧駅前で操業していた時代。丸太の姿そのままに1本50円で販売を始めたが、「食べにくい」「甘すぎる」などの苦情が殺到。小林氏自ら商品のコンセプトを店頭で訴えるなどして定着した。
当初はカステラ生地を焼くのも手作業で、1日180本程度が限界だった。現在も同社で和菓子職人を務める岡部忠さん(85)は「午前中にカステラを焼いて、午後から仕上げて。1本ずつすべて手作業だった」と懐かしむ。
64年に現在の本社がある糸井で工場が完成し、83年に現生産ラインが出来上がるなど、設備を次々と入れて省力化。今はオーブンでカステラがどんどん焼き上がり、ジャムも自動でどばっとかかり、1日8000本の生産能力を誇る。
ただ、カステラを丸める手作業は変わらず、岡部さんは「力加減を間違うと、くるっと巻かさらない」と話す。よいとまけ製造は従業員ら約20人が携わり、60~70歳代のベテランに20歳代の若手が交じって技術を継承している。
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そんなよいとまけ最大の変化は、2009年の「カットタイプ」発売。最新設備の超音波カッターを入れ、7等分にして食べにくさを解消したが、企画広報課の佐藤巧さん(50)は「手を加えるのはタブーのようで悩んだ」と振り返る。
06年にはテレビ番組で「日本一食べづらいお菓子」と紹介され、同社も賛否両論がある中でキャッチコピーにした経緯もある。知名度も飛躍的に上げたが、佐藤さんは「そもそも食べやすくするのが長年の夢だった」。従来の丸太タイプが姿を消すとともに、さらに挑戦的になった。
15年にハスカップの不作もあり、イチゴ味の姉妹品が初めて登場。22年にはリンゴ味を商品化し、70周年の節目を迎えた今年はレモン味を夏限定で発売するなど、よいとまけのネームバリューを生かしつつ新しい味を生み出している。
今年は、コンビニエンスストア大手のセブン―イレブン・ジャパン(東京)が、「よいとまけ」アイスクリームを販売。ゲームアプリ「ウマ娘(むすめ)」に登場する、苫小牧ゆかりの競走馬「ホッコータルマエ」のキャラクターを箱に限定採用するなど、従来にはない連携企画も相次いだ。
22年実積(ハスカップ味のみ)で売上高4億円弱を誇るよいとまけ。恐れずマイナーチェンジを重ね、工場長の加藤浩史さん(47)は「味も今風に少しずつ変えてきた。グラニュー糖も軽くかけるなど、甘すぎないのが今の主流。これからも時代に合わせて、よいとまけを作り続けたい」と話す。





















