変わるかアイスホッケー界 ラミレスさん起用「4~5年以内に6割満員」 アイスホッケー

変わるかアイスホッケー界 ラミレスさん起用「4~5年以内に6割満員」 アイスホッケー
オンラインでインタビューに応じるアレックス・ラミレスさん=11月

 低迷する日本アイスホッケー界で今秋、異色の起用があった。プロ野球横浜DeNA元監督のアレックス・ラミレスさんが連盟の理事・広報委員長に就任。強化、普及とも進まず、人気も底を打っているのが現状でも「4~5年以内には6割くらいの試合を満員に」と静かに語った。

 ラミレスさんはプロ野球で人気と実績を兼ね備え、監督としてはDeNAの観客増にも貢献した。日本のアイスホッケーについては「誰も気にかけていない」と厳しく断じ、「いかに多くの人に認識してもらい、良さに気付いてもらうか。そこから始まる」と現実を冷静に見ている。

 親交のある連盟新会長の藤木幸太氏から打診され、迷わず引き受けた。藤木氏は「切符が品薄という状況をつくることがファンを一番引き付けると。彼はそういう考え方」とラミレスさんの持論を買っており、関係者も口をそろえる。その考えを昨季、体現した。

 アジアリーグの横浜グリッツ共同代表に昨年12月就任。数カ月後の今年3月にはホームのコーセー新横浜スケートセンター(約1400席)で開催された最終戦が満員になった。代表の臼井亮人氏は「継続して積み上がったものと、ラミちゃん効果もある」と言う。

 ラミレスさんは観客を増やす入り口戦略として「スポンサーに関与してもらい、お金(協賛金)だけではないところでコラボしてもらうこと」をまず掲げる。競技と仕事を両立させる「デュアルキャリア」を推進しているグリッツでは、選手が働く会社に目を付けた。

 社員選手を応援してもらうよう働き掛け、昨季最終戦では数十枚単位でチケットを購入してくれる会社もあった。選手は二十数人おり、臼井氏は「それだけで(観客が)700~800人になる。注目されれば人も集まる」とし、次の展開への下地になるとみている。

 裏方だけでなく、表にも出た。記念のフェースオフに登場し、ピリオド間にはリンクMCと絡んで観客を楽しませた。「チームが勝とうが負けようが、ファンが来てくれるように魅力的なものにしないと。わぉ、きょうは楽しかった、と思ってもらって、また戻ってきてほしいから」。クラウドファンディングでは枚数限定の「ラミちゃんと一緒に観戦シート」で一役買った。

 連盟でのミッションについては、メディア戦略も含めて「一歩ずつ。プロセスが全て」と繰り返し、こうも言った。「日本におけるアイスホッケーは、まずスポーツとして多くの人が夢をかなえる機会を生み出すべきだ。10年後にはビジネスにできるかもしれない」

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