寒い夜に 磯崎(いそざき)文盛(ぶんせい)

寒い夜に
磯崎(いそざき)文盛(ぶんせい)

 苫小牧市内のある所にホームレスの方たちが居ると聞いたのは、2019年2月。記録的寒波が統計開始以来初めて日本列島を襲った時でした。居ても立ってもいられず、駆け付けて数人のホームレスの方と一緒に寝袋を並べ、極寒の夜をしのいだことがあります。

 ダウンコートを着たまま寝袋に入りましたが、あまりの寒さに持っていたカイロがなかなか温まらず、少しでも動くと体力がごっそり奪われます。午前3時、4時くらいになるともう動くに動けなくなっていて、本当に死と隣り合わせの思いをしました。そうして長い長い夜が明け、差し込んでくる朝日の熱量に感動を覚えたほどです。

 それから無理のない範囲で、カイロを持って行くなど夜間の見守り活動を始めました。ある年の12月。若い男性が毎夜寒いベンチでジャケット1枚を着て過ごしていたので、氷点下15度でも大丈夫という寝袋を渡したことがあります。ところが、最初に行った時は遠慮からか、なかなか受け取ってくれません。私も諦め切れず、翌日、改めて自分の経験と気持ちを手紙にして渡しました。読み終えたら、今度はお礼を言って寝袋を受け取ってくれました。その後、男性は住み込みのお仕事に就けることになったそうです。

 あの大寒波の時のように、心も体も寒くなると、自分の力だけでは動くに動けないことがあります。私はたまに一緒に居るくらいしかできなかったけれど、一緒に居て0・1度でもその場の空気を温められていたらうれしい。

(いぶり勧学館館長・苫小牧)

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