ファンの心を”鷲づかみ”に ⑩渡谷憲太ディレクター

ファンの心を”鷲づかみ”に ⑩渡谷憲太ディレクター
ファンとの交流などについて語る渡谷ディレクター

 ―新たなファンを引き出す取り組み。

 「特に力を入れているのは女性のファンを増やすこと。メインターゲットは18歳から35歳くらいまでで、例えば選手の容姿やプライベートを発信して、選手を身近に感じてもらえるようなチームになったらいいと思っている。さらにそのチームには、実は日本代表がたくさんいて、日本で一番強い―となると興味も広がる。SNSを見て試合観戦や練習の見学に来てくれる人もいる」

 ―若い女性をターゲットにする理由は。

 「国内で流行を生み出すのは、女子高生を中心とした若い女性。首都圏の流行が地方に流れてくるのではなく、苫小牧発信で地元の流行をつくれたら面白い。アイスホッケーに関係なく、ネピアアイスアリーナが若い男女の集うような空間になれば、自然に試合も見てもらえるようになると思う。会場に来るきっかけをつくり、『推し文化』も大事にしたい」

 ―定着した「鷲づかみポーズ」を考案。

 「ファンとの間に共通言語が必要だと思い、鷲づかみポーズやファンのことを『ワシスタント』と呼ぶことを高田マネジャーと一緒に考えた。今年はギャルピースのワシバージョン『ギャルわし』をやってみたりトレンドも変えつつ、ファンの方に楽しんでもらえたらなと思っている。ワシスタントから『普段、写真を撮るときワシづかみポーズをついしちゃう』と聞くとうれしい」

 ―ホームゲーム札幌開催の手応え。

 「北海道というくくりでチームを見たとき、主要都市でも開催すべきだと思った。サッカーのコンサドーレやバスケットボールのレバンガといった他競技との協働もあるので、札幌に行った方が効率的な部分もある。ただ、大都市で試合をすればお客さんが集まるということでもないし、実際に来場者数が伸びなかった試合もあった。多様なコンテンツがある中で、アイスホッケーを選んでもらう必要があるし、リーグ全体のレベルが上がれば単純に人気が出るという訳でもない」

 ―今後、チームの盛り上げに向けた思い。

 「スポーツチームに限らず企業も不景気な状態にある中でたくさん爪痕を残しつつ、伝統のあるチームでもあるので、進化していけるようなことを今できるかっていうことを考えている。国内チームで一番強く、さまざまなことにチャレンジして全体をけん引していかなければいけないチームだと思って、何ができるのか―ということを模索しながら行動していきたいと思っている」

 ▽プロフィル

 1993年1月13日生まれ、札幌市出身。社会人チーム、日本製鉄室蘭で5年前までプレー。クラブ化初年度からチームに携わり、ブランディングやマーケティング、広報活動などを手掛ける。趣味の旅行先でインスピレーションを受けたものから企画の発案もする。

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