2023年の苫小牧署管内(東胆振1市4町)の刑法犯認知件数は、11月末時点で976件(前年同期比187件増)と急増している。子どもの被害が目立ち、インターネットを介した未成年者誘拐事件も発生。犯罪が複雑多様化する中、被害防止には若者へのSNSの適正利用周知徹底や関係機関・団体の連携強化が不可欠だと再認識させられる1年となった。
5月、インターネット上のアプリを通じて知り合った苫小牧市の10代女性を5日間連れ回したとして、自称千葉市在住の男(28)が未成年者誘拐の容疑で逮捕された。親族からの相談で発覚し、女性にけがはなかったがこうした事案は一歩間違えれば命に関わる事件に発展する。
同署の安田修生活安全課長は「警察も若者のネットトラブル防止へ、中学生らに指導を続けているが限界がある。家庭や学校でルール、マナーを浸透させなければならない」と訴える。
そんな中、苫小牧工業高等専門学校フロンティアコース5年生の4人が今年度の卒業研究の一環で、青少年向け情報セキュリティー教材を製作。11月、道警サイバーセキュリティ対策本部と市内の中学生に出前授業を行い、ネット上で個人情報が流出することの危険性を伝えた。
授業を受けた中学生からは「(学生たちに)親近感が湧き意欲的に学べた」などと好評で、若者側からアプローチする取り組みの有効性を確認。より効果的な啓発活動のヒントを得た。使用した教材やパンフレットは今後、全道の学校で活用される予定だ。
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16歳未満の子どもが巻き込まれる「子ども被害犯罪」は17件(同11件増)と急増した。今月6日には、息子に自宅で暴行を加え、顔に傷を負わせたとして市内の消防士の男(27)が傷害の疑いで逮捕された。過去にも家族に関する虐待などの取り扱いがあり、児童相談所からの通報で捜査を進め、素早い逮捕につながった。
安田課長は危機感を募らせつつ、「関係機関に子どもに関する傷害や暴行についての通報要請を重ね、連携強化を図ってきた。今まで見過ごされてきた事案を取りこぼしにくくなり、市民からの通報も感覚的に増えていると感じる」と語る。
特殊詐欺被害は4件(同3件増)発生し、被害額は前年の3倍超の約1230万円に上った。同署は5月、孫を装い、苫小牧市の80代女性から現金915万円をだまし取ったとして千葉県の無職男(22)を逮捕。男は詐欺グループの現金運搬役でその後、受け子やグループへの勧誘役であるリクルーターも相次いで摘発された。
特殊詐欺被害で現金が全額返金されるケースはほとんどなく、警察から連絡を受け、初めて被害に気付く場合も少なくない。80代女性は同居中の息子が帰宅後、詐欺だと気付いた。特殊詐欺被害者の7割は65歳以上の高齢者とされ、家族らが警告付き電話の導入や留守番電話の設定など、対策を再点検する必要がある。
刑法犯の認知件数増加は、新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けが5類に移行するなどして人の動きが活発になったことも要因の一つとみられる。
同署の長棟智之副署長は「犯罪に巻き込まれないためには、一人ひとりの防犯意識向上が不可欠」と強調。「地域の関係機関との連携を強化し、犯罪抑止に努めたい」としている。
















