生きる 記者コラム 風

生きる 記者コラム 風

 8日にNHK総合で黒澤明監督の名作「生きる」が放送されていた。1952年公開の映画を「なぜ、この時期に」と気になりながら録画し、久しぶりに見た。改めて、見事なストーリー展開に感嘆し、深いメッセージ性が心に響いた。

 市役所の市民課長が主人公。30年間無欠勤でまじめな男ながら、事なかれ主義的に何もしない仕事ぶりが軽妙に活写された冒頭から面白い。この男ががんに冒され、余命わずかと悟り、自分の生き方に疑問を抱き始める。

 以前なら無視していた市民の陳情に目を留め、真剣に向き合う人生を選ぶ。一方、役所の不作為を正当化する風潮が描写され、その執拗(しつよう)さにユーモアも感じる。ただし現実で、そんな状況に当事者として遭遇すると、笑っていられないとも思う。時として、命に関わる問題も引き起こすからだ。

 能登半島地震の発生から1週間が過ぎた。被害の全容はまだ見えてこないが、自分にできることを考え、まずは募金をした。(河)

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