第78回国民スポーツ大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会は28日、苫小牧市内の各会場でスピードスケート、ショートトラック、フィギュアの各競技が始まった。アイスホッケーは30日から。
―スピードスケート地元勢 日下、森野が決勝へ
スピードスケート競技は28日、ハイランドスポーツセンターで少年男子500メートルなど13種目が行われた。地元勢は少年男子1500メートルで日下賢将(日高町出身)が、成年女子1500メートルでは駒大苫小牧出の森野こころ(日本体育大)がともに予選を通過した。成年男子1500メートルのウイリアムソン師円(山形、浦河町出身)と新山強(徳島、苫小牧東高出)は決勝に進めなかった。
日下は最終の3週目で首位に立つと、そのままゴールするプラン通りの滑りを展開。森野も最終周の直線で先頭に立つ安定したスケーティングで予選突破した。
―森野、冷静な滑りで予選突破
森野はレース直後、開口一番に「昨日からいろんなレースパターンを考えていたので冷静に走ることができた。想定通り」と笑顔を見せた。
レース中盤では先頭に立ち集団を引っ張る場面もあったが、後方でチャンスをうかがう滑りに徹した。最後の直線勝負で競り勝ち、危なげなく決勝進出を決めた。
高校時代から滑り慣れたリンクでの試合は昨年の日本学生氷上競技選手権(インカレ)以来だったが、「知り合いの方がたくさんいた」と声を弾ませる。
今年のインカレを制した女王が目標の優勝へひた走る。
―岩本5位、加藤は26位
フィギュア競技は28日、苫小牧市のネピアアイスアリーナで始まり、少年男女のショートプログラム(SP)が行われた。男子は世界選手権代表の三浦佳生(東京)が84・75点、女子は世界ジュニア選手権代表の櫛田育良(愛知)が66・24点でそれぞれ首位に立った。地元勢では白鳥FSCの岩本愛子=青翔中=が54・67点で5位につけ、29日のフリースケーティングに臨む。
それぞれ32人が演技を行った。加藤杏望はミスが重なり26位(35・18点)と一歩及ばなかった。世界選手権代表の吉田陽菜(京都・木下アカデミー)は、56・18点の4位につけた。
少年女子のフリースケーティングは29日の午後6時ごろから行われ、岩本の滑走順は20番目。
【少年】
▽男子SP (1)三浦佳生(東京)84・75(2)中村(愛知)(3)森本(京都)
▽女子SP (1)櫛田育良(愛知)66・24(2)中尾(東京)(3)柴山(京都)(5)岩本愛子(北海道)54・67(26)加藤杏望(同)35・18
―初出場「良い経験に」
大会初出場だった2人。岩本は「いつもとは違う雰囲気に緊張した」と初舞台を振り返る。名前をコールされて広いリンクの上に1人立ち、曲が流れると表情を一変させ「強い女性」をイメージしながら演技に集中した。
スピンでレベルを一つ取りこぼしてしまったものの「ジャンプは全体的に良かった」と振り返り、「フリーは有名な選手たちと同じグループでスケートするので、見劣りしないよう頑張りたい」と謙虚さの中にも力強さを感じさせた。
一方、「会場の空気にのまれてしまった」と悔しさをにじませる加藤。演技の最初のジャンプがうまくいかず、3回転サルコウが2回転になるなど力を十分に発揮することができなかった。「力みすぎてしまって、最後まで修正することが難しかった」と語った。
道代表少年男女の伊藤蘭監督は加藤について「緊張がほどけず、スコアには表れなかったが、初出場で良い経験になったと思う」と話し、岩本については「地元の応援を力に変え、しっかり演技ができていた」と評価した。
―慣れ親しんだリンクで雪辱誓う
少年男子1500メートル予選3組をトップで通過した日下はレース後、「最後に差して1位を取る自分のレースができた」と振り返った。
最初の2周は集団の後ろで足をため、最終周の3周目に入った途端、一気に加速。先頭に立つとそのまま逃げ切る圧巻のレース運びをみせた。
高校総体の疲れが残り本調子ではないが、同大会で敗れたライバル宮坂大地(白樺学園)も出場しており、「決勝では勝ちに行きたい」と闘志を燃やす。
小、中学生時代の9年間は、冬になると毎日ハイランドスポーツセンターに通い、技術を磨いてきた日下。慣れ親しんだリンクでライバルに雪辱を誓った。
―初日は4種目で決勝実施
ショートトラック競技はは28日、苫小牧市の新ときわスケートセンターで始まった。2日間の日程で少年、成年の男女500メートル、1000メートル、3000メートルと成年男子の5000メートル、女子の3000メートルリレー計14種目を展開する。
初日は少年、成年男女の1000メートル4種目が決勝戦まで行われた。
【成年】
▽男子1000メートル (1)宮田将吾(大阪)(2)小池(長野)(3)古川(山梨)
▽女子1000メートル (1)山名里奈(滋賀)(2)黒川(福岡)(3)渡邉(愛知)
【少年】
▽男子1000メートル (1)林大剛(愛知)(2)石原(同)(3)安藤(滋賀)
▽女子1000メートル (1)金井莉佳(埼玉)(2)石川(兵庫)(3)嶋田(同)
―石川県代表の田中、被災地への思い滑りに
1日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県の唯一人の代表選手、金沢市在住の田中翔太郎(35)が500メートルと1000メートルに出場した。金沢市で生まれ育ち、近所にスケートリンクがあったことから、小学2年の頃に競技を始めた。これまで少年、成年合わせて10回以上出場し、入賞経験もあるベテラン選手だ。
28日、1000メートル予選を控えた田中は「年齢的に選手としてのピークは過ぎている」とした上で「金沢は比較的、地震の被害は少なかったが、能登地方ではまだまだ被害に苦しんでいる人もいる。国スポを通して明るく前向きなニュースを地元に届けられるよう、予選突破を目指して頑張りたい」と力を込め、大会に臨んだ。
























