開会中の第78回国民スポーツ大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会は29日、苫小牧市内でフィギュア、スピードスケート、ショートトラックの各種目が行われた。このうちフィギュア少年女子でフリースケーティングに進んだ苫小牧の岩本愛子(白鳥FSC、青翔中3年)は、初出場の国スポの舞台で会心のパフォーマンスを見せ、大健闘の4位入賞を果たした。
フィギュア競技は29日、ネピアアイスアリーナで少年男女のフリースケーティング(FS)が行われ、男子は三浦佳生(東京)が合計238.47、女子は吉田陽菜(京都)が188.81と、男女ともに世界選手権の代表選手が栄冠を勝ち取った。成年男子のショートプログラム(SP)成年男子は、元五輪代表の織田信成が3位(78.09点)、苫小牧市役所の坪井聖弥は19位(50.26点)につけ、30日のFSにつなげた。
少年女子のSPで5位につけた苫小牧の白鳥FSC、岩本愛子=青翔中=はFSで自己ベストの110.93を出し、合計165.6で見事4位に入賞した。
30日は成年女子SP、同男子FSが展開される
【成年】
▽男子SP (1)三宅星南(岡山)83.14(2)大島(埼玉)(3)織田(大阪)(19)坪井聖弥(北海道)50.26
【少年】
▽男子FS (1)三浦佳生(東京)153.72(2)中村(愛知)(3)森本(京都)
▽男子順位 (1)三浦(東京)238.47(2)中村(愛知)203.65(3)森本(京都)188.72
▽女子FS (1)吉田陽菜(京都)132.63(2)櫛田(愛知)(3)中尾(東京)(4)岩本愛子(北海道)110.93
▽女子順位 (1)吉田(京都)188.81(2)櫛田(愛知)(3)中尾(東京)(4)岩本(北海道)165.6
―岩本、安定のパフォーマンスで自己ベスト更新
FSは最終グループでの演技。滑走順は24人中20番目だった。緊張感が漂う中でもプレッシャーに負けず、落ち着いた演技で自己ベストを4点ほど更新した110.93を出し、一時トップに立った。大舞台での4位入賞について、「うれしい。今後の自信につながる」と笑顔を見せた。
SPの「強い女性」のイメージから一変し、透き通るような水色の衣装を身にまとい「女神のような清らかさ」を表現。トリプルフリップ、ダブルトーループ、ダブルアクセルのコンビネーションをはじめ、ジャンプを全て成功させた。「最初のジャンプで着氷した時の感覚が良かったので、いけると思った」と手応えがあった。成功率を上げるため、手の動作や体の軸を意識した練習の積み重ねが結果に結び付いた。
「今までで最高の演技ができた。コーチや両親など、支えてくれた人たちのおかげ」と感謝。今週末は全国中学スケート大会(長野市)を控えており、「良いイメージのまま気を抜かず、一つ一つ丁寧に演技をしたい」と語った。
― 公務員スケーターの坪井 「積み重ねたものぶつける」
坪井は大会出場4度目、公務員スケーターとして初挑戦の大会をショートプログラム19位(50.26点)で終えた。「地元開催のプレッシャーもあったが、開始と同時に集中することができた」と振り返る。
ジャンプ2本目のトリプルルッツで軸足が抜けて回転を掛け切れず、シングルになったが、持ち前の表現力を生かしたステップを披露。「観客を楽しませることができたのでは」と語った。
市の職員として働く傍ら、1週間に2回程度の練習で調整し、最後の週は毎日リンクに足を運んで自らを追い込んだ。30日午後のフリースケーティングに向け「積み重ねてきたものをぶつけたい」と力を込めた。
―スピードスケート、兄妹で予選通過
スピードスケート競技は29日、ハイランドスポーツセンターで12種目が行われた。日高ゆかりの選手、浦河町出身のウイリアムソン師円(山形)が成年男子1000メートルで準決勝に進出。妹のウイリアムソンレミ(北海道・小鍛冶組)も成年女子3000メートルの予選を突破し、31日の決勝に駒を進めた。
また、少年男子10000メートルなど5種目で決勝が行われた。
【少年】
▽男子10000メートル (1)雨宮伊吹(長野)14分5秒36(2)立花(北海道)(3)大森(山梨)
▽男子500メートル (1)辻本楓芽(北海道)37秒11(2)許(兵庫)(3)軍司(北海道)
▽女子500メートル (1)奥秋静子(北海道)40秒73(2)笹渕(北海道)(3)倉坪(長野)
【成年】
▽男子500メートル (1)森本拓也(三重)36秒86(2)髙見澤(長野)(3)土屋(群馬)
▽女子500メートル (1)北原伊織(長野)41秒51(2)阿良(北海道)(3)松澤(岩手)
―大舞台で冷静な滑り 浦河町出身
浦河町出身のウイリアムソン師円と妹のレミが、きょうだいそろって予選を通過した。
先に師円が成年男子1000メートル予選に登場。28日の成年男子1500メートルで予選落ちしていた反省を生かし、このレースは後半まで体力を温存。ラスト約100メートルの直線でトップに立ちそのまま守り切った。
「今回は前半型の選手が多かったので、最後まで力を温存していた」と的確な状況判断で準決勝進出を決めた。
レミは成年女子3000メートル予選に出場。スタートでダッシュを決めて先頭に飛び出すとそのまま首位で1周目を終えた。その後は後方で様子を見ながら無難なレース運びをみせ、2着で決勝へ進んだ。
オープントラックで行うレースが苦手というレミ。兄から「頭を使ってレースを」とのアドバイスを受けて落ち着いてレースを展開。決勝に向けて「状況を見ながら積極的なレースをしたい」と力を込めた。
父親のポールさん(54)は「2人ともかっこよかった。次もリラックスしながら、結果を気にせず楽しんでほしい」とエールを送った。
―ショートトラック競技全日程終了
ショートトラック競技は29日、新ときわスケートセンターで少年、成年の男女500メートル、成年男子5000メートルリレー、同女子3000メートルリレーの6種目が行われた。成年リレーは男子が愛知、女子は兵庫がそれぞれ優勝し、競技の全日程を終えた。
【成年】
▽男子500メートル (1)松林佑倭(兵庫)(2)古川(山梨)(3)重弘(東京)
▽女子500メートル (1)黒川輝衣(福岡)(2)中島(岡山)(3)長森(兵庫)
▽男子5000メートルR (1)愛知(2)福岡(3)大阪
▽女子3000メートルR (1)兵庫(2)群馬(3)神奈川
【少年】
▽男子500メートル (1)播磨亮汰(福岡)(2)島村(埼玉)(3)丸山(群馬)
▽女子500メートル (1)金井莉佳(埼玉)(2)吉澤(長野)(3)嶋田(兵庫)
―地元児童が出場選手に声援
29日のショートトラック会場に苫小牧北光小学校5年生64人が選手の応援で駆け付けた。児童は手作りした応援用の小旗を振って「行け、ファイト」と選手を応援。転倒した選手にも「ドンマイ、頑張れ」と精いっぱい声援を送った。
水泳と空手を習う加藤将生さん(11)は、競技を初観戦した。「思っていた以上に速く、迫力がある」と興奮気味。「たくさん努力をした選手たちがこの舞台に立っているんだと考えると、自分ももっと頑張りたいと思えた」と語った。
観戦は国スポ開催を地元の子どものスポーツ振興につなげたいと、市の国スポ準備室が計画した。期間中、市内10の小中学校が観戦する予定だ。




























