ラグビー日本代表「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜戦士)」に世界的名将が戻ってきた。ヘッドコーチ(HC)に、エディー・ジョーンズ氏(63)が9年ぶりに就任。これまで強豪国を率いた経験も含め、実績は十分だ。言葉や感情の表現が豊かで、たまにお騒がせな「エディー節」もそのままに、第2次体制が発足した。
▽変革期に復帰
功績を買われての復帰となった。前回の任期は2012~15年。13年10月に脳梗塞で倒れる不幸もあったが、テストマッチ11連勝を記録。ウェールズやイタリアから初白星を奪い、15年ワールドカップ(W杯)イングランド大会では歴史的な3勝をマークした。
とりわけ1次リーグ初戦で強豪の南アフリカから奪った白星は、「史上最大の番狂わせ」とも。日本代表の礎だけでなく、ラグビー人気の醸成にも大きく貢献した。退任後はイングランド代表を率い、日本で行われた19年W杯で準優勝。23年W杯では母国オーストラリアを指揮しながら同国史上初の1次リーグ敗退という憂き目に遭ったが、満を持して古巣へ舞い戻った。
日本代表はW杯で19年は初めて8強入りとなる決勝トーナメントに進んだが、23年は再び1次リーグ敗退。土台に刺激を与え、変革する時期に来ていた。今回のHC選考に携わった日本協会の岩渕健輔専務理事は「ビジョン、計画、ラグビースタイルで最も高い評価を得た」と理由を明かす。
▽動きも思考も速く
いかに力を上積みしていくか。1月に強化方針の説明会を開いたジョーンズHCは「超速ラグビー」との看板を掲げた。着目したのは現代ラグビーの潮流にある。世界のトップレベルでは、ボールが動く1回当たりの平均プレー時間は30秒前後。英国の科学者ニュートンの法則も引き合いに「その中でいかに緩急を反復できるかが大事。勢いは『質量×速度』。日本人は体が小さいが、スピードを変えられる」と説く。
思考の速さも求める。戦術を徹底し、「何をすべきか考える必要がないほどにすれば、すぐ決断できる」とみる。状況別の練習に加え、プレーの合理化を図るために人工知能(AI)の利用なども視野に入れる。
独自の文化や価値観が根を張る日本。他競技で成功した監督らと交流する構想も明かす。27年W杯での8強入りへ、「アイデンティティーを構築したい。今まで見たことのない日本代表をつくりたい」。6月22日のイングランド戦(東京・国立競技場)での初陣で、お手並み拝見だ。
ラグビー日本代表の次期ヘッドコーチに就任が決まり、記者会見するエディー・ジョーンズ氏=2023年12月14日、東京都新宿区
















