全国的に医療用医薬品の供給不足がなかなか解消されない中、苫小牧市内の医療機関もせき止めの鎮咳(ちんがい)剤、たんを取る去痰(きょたん)剤などを満足に入手できない状況が続いている。各医療機関は昨年秋から国の方針に基づいて、処方を最小限にとどめるなど対策しているが、一部の市民からは「なんで薬を出せないのか」などと執拗に不満をぶつけるケースも。医療従事者らは「薬を出したくても、できない状況」と切実に理解を求めている。
薬不足は2020年以降、先発医薬品と同じ有効成分で低価格な後発薬「ジェネリック医薬品」の製造メーカーによる相次ぐ不正に伴う業務停止処分に、薬価改定によりジェネリックを作るほど赤字となる構図が加わったことが要因。昨年9月に厚生労働省は鎮咳剤と去痰剤の在庫逼迫(ひっぱく)を受け、医療機関に保健所を通して▽医師が必要と判断した患者へ最小日数の処方に努める▽過剰な発注は控える―などの協力を依頼し、同10月には各メーカーに増産を求めた。
しかし、市内では昨年秋から鎮咳剤、去痰剤の不足が続いている。新型コロナウイルス感染症が沈静化しない中、インフルエンザの感染拡大が重なり、せきなどの症状を訴える患者が増え、薬不足に追い打ちをかけている。たくゆう耳鼻咽喉科クリニック(市拓勇東町)の黒田徹院長(53)は「コロナ前から冬はせきや発熱、鼻水症状を訴える方が増えるが、今季は薬を求めるように市外から来られる方も増えた」と明かす。
以前は薬を1週間分処方したケースも、5日分程度に減らした上、症状が治まらなければ再診を呼び掛けており、「量をコントロールする苦渋の処方」と説明する。「患者さんに申し訳ないが、一定量を処方すると、あっという間に枯渇し、早い者勝ちになる」と協力を呼び掛ける。
併設するセンター薬局拓勇店(同)の若林崇文薬局長(46)も「薬がいつなくなるか」と気が気でない日々。13日には去痰剤が6000錠入ったが、「月当たり3万5000錠はないと」と嘆く。薬が出せなかったケースもあり、「現状を分かってもらえず、『なぜ薬がないのか』と言われることもある」と苦慮している。
医療機関や薬局によっては、薬を求める市民が怒りをぶつけるなど、トラブルに発展するケースもあるという。国が主要メーカーの協力で薬の安定供給を図ろうとする中、市医師会の沖一郎会長は「こういう状況が続くわけではない」と前置きした上で「みんなで協力し合いながら、急場を乗り切っていけたら」と訴えている。
















