鈴木直道知事が21日の定例道議会本会議で行った道政執行方針演説の要旨は次の通り。
【基本姿勢】これまでの常識や価値観を一新する大きな変革の流れの中、私たち北海道は、将来に向けた持続的な発展へと歩みを進める上で、重要な局面に立っている。かつてないスピードで動き、先行きが不透明といわれる時代だからこそ、北海道の「いま」を見極め、将来をしっかり見据えながら、道政を前に進めていかなければならない。そのキーワードは「地域」と「世界」であると考えている。
【地域の視点】私は知事就任以来、徹底した現場主義を信条としてきた。これまで道内各地に足を運び、温泉熱を有効活用した農業生産の取り組みなど、その地にある資源を活用し、創意工夫を凝らしながら地域の発展に向けて挑戦をされている多くの方々にお会いしてきた。そこで確信したのは、北海道の発展はこうした地域の皆さんの挑戦に支えられ、そして地域が有するポテンシャルがその推進力となっていること。
179市町村の多様な取り組みが国内外の関心を引き付け、北海道全体の魅力を高めている。地域の自然環境が豊富な再生可能エネルギーを生み出し、広大な大地や北の厳しい海が豊かな恵みをもたらしている。北海道の持続的な発展には、地域が大きな役割を担い、地域が主役となることが必要。人口減少が続く中、担い手の不足をはじめ、地域医療や地域交通の確保などの課題に対し、現場の声を聞き、思いを受け止めながら一つ一つ真摯(しんし)に向き合い、取り組みを重ねていく。
【世界の視点】グローバル化が進む中、私たちが暮らすこの地域を、世界の視点から俯瞰(ふかん)することも重要となっている。感染症は世界規模で広がり、本道にも大きな影響を及ぼした。長引く物価高騰は不安定な国際情勢から始まり、中国による輸入停止措置などにより道内の関係者は厳しい状況に直面した。
本道で製造拠点の準備が進む次世代半導体は、今後のデジタル社会の発展を支え、経済安全保障への貢献も見込まれる。北海道と欧米を結ぶ光海底ケーブルの計画は、アジアのゲートウェイとしての北海道への期待の表れ。
世界的な脱炭素化の動きの中、再生可能エネルギーをはじめ、森林や農地、藻場(もば)といった吸収源などのポテンシャルは、地域にこそ存在している。脱炭素社会の実現に向けた世界からの投資を地域で受け止め、世界と結び付きながら、環境と経済の好循環を生み出すことが重要。北海道の扉の先は、世界につながっている。私たちの将来を見据えたとき、道内各地の特性や潜在力に目を向けながら、日本そして世界へとその視野を広げていく必要がある。国内外から、新たな産業や人、投資を北海道に呼び込むことで、道民が豊かで安心して住み続けられる社会をつくり、そして日本、世界の発展につながっていく。
【重点政策の展開・安心して住み続けられる地域に】津波避難施設の整備を促進するとともに、道路、橋梁(きょうりょう)といった重要インフラの機能強化を図り、地域と連携しながらソフトとハードの両面の対策に取り組む。胆振東部地震の復興に向けた取り組みは、引き続き着実に進める。
特定放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場に関しては、道内に受け入れる意思がないとの考えにより想定された条例を順守していく。新たな感染症に備えていくため、医療機関の施設整備の支援、初動対応を含む実践的な訓練や研修などに取り組む。ヒグマやエゾシカによる被害防止に向け、個体数の適正管理をはじめ、ハンター育成・確保に向けた取り組みなど、地域の実情を踏まえ、関係者の皆さんと一体となって対策を進める。
全国を上回るスピードで少子化が進む中、「子ども応援社会」の実現は急務。子どもを社会全体で支える機運の醸成を図り、子どもの意見の道政への反映をはじめ、経済的支援や悩みを抱える方への相談体制の強化など、道の政策を総動員しながら、妊娠期から子育てに至るまでの支援に取り組む。
【重点政策・北海道の魅力を世界へ】あらゆる産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める「北海道デジタルパーク」の展開に向けて、国内外の半導体関連企業の誘致や道内企業の参入を促進するとともに、産学官のネットワークを構築し、次世代半導体の製造、研究、人材育成等が一体となった複合拠点の実現を目指す。
「ゼロカーボン北海道」の取り組みを強化し、「金融・資産運用特区」制度の活用を視野に、クリーンエネルギーなどGX(グリーントランスフォーメーション)関連産業の投資を国内外から地域に呼び込み、水素の利活用や洋上風力発電の導入、建築分野の脱炭素化の推進などに取り組む。
昨年のアドベンチャートラベル・ワールドサミットにおいて、北海道のポテンシャルは関係者から高い評価を受けた。そこで得られた知見も生かしながら、「観光立国北海道」の再構築に向けた取り組みを加速する。観光振興を目的とした新税(宿泊税)については、関係者の皆さんの理解を得ながら検討を進める。
【むすび】本年は、北海道の将来を見据えた、新たな総合計画がスタートする重要な年となる。北海道の力とは、道内各地の特色ある自然や文化であり、地域の資源を活かした産業であり、何よりも困難を恐れずに挑戦を続ける地域の人々の気概や情熱。こうした先人から受け継がれてきた多くの力を結集することにより、地域、日本、そして世界が直面している大きな変化の時代を乗り越えることができると確信している。私自身も持てる力の全てを注ぎ、自ら先頭に立って北海道を前へと進め、確かな未来を創り上げていく。
















