留学生のバス無料廃止 苫小牧市 事業者、採算合わず

 苫小牧市は市内の留学生を対象に路線バスの利用を無料にし、バス事業者に500万円を支払う「留学生バス特別乗車証交付事業」を廃止した。新型コロナウイルスの規制緩和などを背景に留学生の急増が見込まれ、路線バスを運行する道南バス(本社室蘭市)から現状の支給額では採算が合わないと見直しを求められたため。市は国際化推進事業の一環で2012年度から同額を予算化してきたが、24年度は予算案への計上を見送った。

 同事業は、JR苫小牧駅と通学先の最寄りの停留所を結ぶ区間で、バスを無料で利用できる乗車証を交付。1991年度の市営バス時代にスタートし、道南バスに移譲された2012年度以降は、市が同社に一律500万円を支出してきた。

 市未来創造戦略室によると、道南バスの苫小牧駅―北洋大学間の定期券は年額14万円余り。仮に22年度実績の68枚すべてを駅―大学間の定期券に換算すると950万円を超える。

 市は23年度も当初予算に500万円を計上したが、同社はこの額では運賃の減収分を補えないとして見直しを要求。市は同年度の申請受け付けを留保し、両者で協議していたが、交付先のほとんどを占める北洋大学の留学生が5月時点で67人に上り、さらに増加が見込まれることから、同年度の事業自体を取りやめた。

 大学側は「留学生にとってバスは貴重な交通手段。通学だけでなく、アルバイト先や買い物などの際にも利用していた」と事業実施を望んでいたが、留学生は今年2月時点で88人まで増加。市は同社の採算に見合う額の支出は困難な上、留学生以外の外国人との公平性の観点からも乗車証の廃止を決断した。今後は「多文化共生に向けた別の新規事業を検討したい」としている。

 道南バスの担当者は「留学生の利用が増え、人件費や燃料の高騰もあって、市も見直しの必要性は理解してくれていたと思う」と話し、廃止はやむを得ないとの受け止め。北洋大学の冨田聡子事務長も「苫小牧が留学生にとっても住みやすいまちだと思ってもらえる施策をお願いしたい」と話している。

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