苫小牧市議会の本会議で12日、「苫小牧市ヤングケアラー支援条例」が可決され、4月1日施行が正式に決まった。条例のスタートと同時に、ヤングケアラーと思われる子どもとの具体的な関わり方や関係機関の連携の取り方などをまとめたガイドラインの運用も始まる。当事者支援に当たる人をはじめ、介護や地域福祉の関係者からは、条例成立を喜ぶ声が上がる。
「ほかの自治体の見本となるような素晴らしい条例」と評価するのは、北海道ヤングケアラー相談サポートセンターのセンター長で、江別市を拠点に道内の当事者の相談対応に当たる加藤高一郎さん。「ヤングケアラーかどうかにとらわれることなく、この条例の下、事情を抱えて大変そうな子どもを大人たちが手助けできる地域にしてほしい」と期待する。
道のヤングケアラーコーディネーター事業を受託する、いぶり・ひだか児童家庭支援センターしずくの田中春代センター長も「家族のケアをする子どもが自分の人生の主人公として生きられるよう、まちぐるみで応援する機運の醸成につながれば」と力を込める。
高齢者介護の業務を通じ、家庭内に入る機会が多い市明野地域包括支援センターの小川雅子センター長は、かつてヤングケアラーと思われるケースに出合った。しかし、他機関との連携がスムーズに進まなかった経験から、「関係機関で連携して支援に当たるための仕組みづくりに期待している」と話す。
一方、道が2021年度に行った調査では中学2年生の3・9%、全日制高校2年生の3%がヤングケアラーと判明したが、その約8割が「日ごろの悩みを相談した経験がない」と回答。実態把握の困難さが課題となっている。
市民生委員児童委員協議会の松村順子会長は「地域に住む私たちも、日ごろからあいさつを交わして子どもとの関係性を築くことで、何かの異変に気付くことができるはず。条例を機に、子どもに目を向ける意識が地域に広がれば」と述べた。
また、市社会福祉協議会の千寺丸洋支援室長は「大人よりも友人に家庭内の状況を話しやすい子どもも多い。今後は若い世代向けの啓発にも力を入れるべきでは」と指摘する。
かつてヤングケアラーだったという市内在住の女性(36)は「子どもの頃の自分は、周りに家のことを知られたくないと思う半面、何かを察したであろう近所の大人の何気ない優しさが本当にうれしかった」と振り返る。
女性は両親の離婚後、不在がちな父に代わって小学3年生から成人するまでの間、料理や洗濯などの家事やきょうだいの世話を1人で担っていた。条例の成立を受け、「自分がかつてそうだったように、ヤングケアラーの子どもは誰かが見てくれている、という実感がうれしいはず。大人たちが子どもを優しく見守るまちになれば」と語った。
















