駅前再開発で合意 市と大東開発 エガオ問題10年がかりで決着 26年度にも施設解体へ

駅前再開発で合意 市と大東開発 エガオ問題10年がかりで決着 26年度にも施設解体へ

 苫小牧市は4日、JR苫小牧駅前の旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」の土地の一部を所有する不動産業、大東開発(苫小牧市若草町、三浦勇人社長)と、再開発を協力して進めることで合意した。同社がエガオをはじめ駅南口の再整備区域内に所有する土地すべてを、市が同区域内に用意する土地と交換することで、約10年間にわたって再開発の支障になっていた「エガオ問題」を解決。市は2026年度にも施設の解体に着手する方針だ。

 5日に岩倉博文市長が記者会見で明らかにした。

 同社との合意について、岩倉市長は「詳細部分は今後協議していくことになるが、まずは駅前再整備に向けて一歩前進した」と強調。今後の駅前再開発に向けて「国や道などの関係機関との協議や事業者の公募などに取り組む」と述べた。

 駅前広場の都市計画変更や国の補助金活用などに向けて、国や道との手続きや協議を始めているといい、今後も検討を深めながら協議する。再開発を担う民間事業者を選定し、25年度以降に事業内容を検討していく。

 合意により、同社が再整備区域内に所有する土地も含む計6筆約1200平方メートルを、エガオ南側の駐車場南東角地と交換する。市は駐車場所有者の不動産関連業エイチ・アール・ネットと5月9日、駐車場と旧バスターミナルの市有地を交換することでも合意。譲渡の時期や方法などは今後調整するが、市が取得した土地の一部と大東開発の土地を交換することになる。

 会見で岩倉市長は「この10年間動かすことができなかったことについて、市民に申し訳なく思っている」と振り返りつつ、「合意できてほっとしている。引き続き緊張感を持って再整備に向けて進めなければ」と意欲。一方、エガオの土地や建物を無償譲渡した別の地権者に対し、市は丁寧に説明する姿勢を示した。

 三浦社長は苫小牧民報社の取材に対し、合意について「いろいろな思いがあった中で総合的に判断した」とし、「今後ともお互いに横の関係を築きながら、粛々と進めていきたい」と述べた。

   ◇

 エガオは14年8月に閉鎖し、市は駅前再開発に向けて土地と建物の権利を集約。29法人・個人の地権者に無償譲渡を求め、大東開発のみが応じなかった。19年には同社が市に損害賠償を求める民事訴訟に発展し、市がその後全面敗訴。同社はエガオに持つ土地5筆約1070平方メートルを敷地内の北西角地に集約し、自社の事業を展開する意向を示し、市と同社の協議はこう着状態が続いていた。

 一方、市は2月、JR北海道と旧商業施設「苫小牧エスタ」の一部などを取得することで合意。3月に駅周辺ビジョンに基づく基本構想をまとめた。エガオや旧駅前バスターミナル周辺約3・3ヘクタールを再整備区域と設定し、ホテルや商業スペース、子育て支援施設などを設ける方針を公表。今年度中に各種協議の合意を目指すとしていた。

◇「エガオ問題」の主な経緯

2014年4月 エガオ運営会社「サンプラザ」が事業停止、札幌地裁に自己破産申請

   5月 札幌地裁が自己破産申請を却下

   8月 エガオ閉店

   11月 サンプラザが札幌地裁に自己破産を再申請

 15年3月 札幌地裁が保全管理命令、苫小牧市がエガオビルの権利集約に乗り出す

   12月 札幌地裁が破産手続き開始決定

 16年4月 サンプラザの破産手続き終了

 17年2月 市が旧エガオビル建物部分の権利を取得

 19年1月 土地の一部を所有する大東開発が、建物を所有する市に対し、土地を不法占有しているとし、損害賠償を求めて民事訴訟

 20年2月 1審判決、大東開発が勝訴。札幌地裁室蘭支部が市に583万円の支払いを命じる。市は控訴

   7月 札幌高裁で第1回口頭弁論。裁判所が和解勧告

 21年3月 計8回の和解協議後、進展が望めないと協議打ち切り

   5月 2審判決、大東開発が勝訴。札幌高裁が市に、同日までの賃料分を加えた665万円の支払いを命じる

   6月 市が上告断念

 23年6月 岩倉博文市長と大東開発の三浦勇人社長が市役所で「トップ会談」

 24年2月 市が駅周辺ビジョンに基づく基本構想案を公表(構想策定は3月)。市は駅周辺再開発に向け、JR北海道と旧商業施設「苫小牧エスタ」の一部や自由通路を取得することで合意

 6月4日 市と大東開発が駅周辺再開発へ合意

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る