ラピダス清水専務に聞く 次世代産業を好機に 高専や工業高校からも人材確保

ラピダス清水専務に聞く 次世代産業を好機に 高専や工業高校からも人材確保
「人が集まる製造拠点に」などと思いを述べる清水専務=5日、千歳市のラピダス工場建設現場

 千歳市で工場建設を進める次世代半導体製造ラピダス(東京)。来年春の試作ライン稼働を目指す中、建設工事の進捗(しんちょく)率も30%超と計画通り順調で、各方面の期待は高まるばかり。同社の清水敦男専務に道内初の製造拠点にかける思いなどを、苫小牧民報、十勝毎日新聞、室蘭民報、釧路新聞、函館新聞の道内5紙が共同インタビューした。

 ―北海道で半導体産業を育てていく思いについて。

 「国からの支援を受け、最先端のテクノロジーをここで作る。北海道の方々は『良い機会が来た』と思って、ラピダスの事業による変化をどんどん使ってほしい。事業を発展させていくとき、北海道はきれいなところがある、おいしいものがあるだけではなく、ここで次世代のもの、新しい社会のものを作れると思って、社員も世界の人もたくさん来てほしい」

 ―来年4月に試作ライン立ち上げ、2027年の量産を目指している。開発の進み具合、手応えは。

 「今この瞬間の開発は、米IBMでデバイス開発のプロセスを高めるマイルストーン(中間目標)を定めて行っている。歩留まりとか量産する前の技術の話で、この時期にこういう特性のものを造りたいとやっており決して楽ではないが頑張って進んでいる。進捗率はオンスケジュール(予定通り)」

 ―2ナノメートル(ナノは10億分の1)のロジック半導体は何に使われるか。

 「AI(人工知能)処理ができるようなデータセンターのサーバー。皆さんの日常生活の目には触れず、処理された結果を知らず知らず使う。例えばチャットGPTはパソコンですぐ回答があるが、奥深いところでサーバーが動いている。自動運転を可能にするには高速の通信網を張り巡らすが、その通信の制御にも使われると思う。北海道ではスマート農業も入る。インフラっぽい感じで影響が広がるはず。スマートフォンは大量の(半導体の基板)ウエハーが必要で、われわれのビジネスで主要とは思っていない」

 ―道内で事業基盤構築をどう考えているか。

 「(同社工場の)イーム1個だけだと何もできず、製造拠点を維持するには必要なものがある。サポートしてくださる企業の決定になるが、われわれは地球環境にマッチした製造にしたい。工場を維持するために、運ぶだけで二酸化炭素を出しまくるスタイルを続けるつもりはない。(協力企業が)苫小牧に土地があるから工場を建てようとか、なるかもしれないし、なってほしい。事業の影響は広がると思う」

 ―製造に必要な素材、副資材などの調達について。道内企業と取引を考えている分野は。

 「最先端のデバイスを作るので、生産材料、副資材などは品質に求めるレベルが非常に厳しい。薬品一つとっても、化学式で表せるものであったら何でもいいかというと全く違い、非常に高純度のものが必要。半導体業界の特殊性の一つで、生産材に関しては先端エリアしか参入できないものがたくさんある」

 「定常的なものは、どこでも手を上げていただける。メンテナンスは真空ポンプを何百台と使うため毎日どこか必要になるし、園庭とかいろんなものがある。ロジスティクス(物流)は大手にお願いするが、仕事全部を一社でやるわけではなく、地場の協力企業の方々もやっていただく。従業員の通勤も、自家用車ではなく、バスを考えている。渋滞の回避と従業員が雪道に慣れていないため。食堂の運営もそう。半導体工場ではなく、工場で必要になるものは、道内の企業にお願いしたい」

 ―27年の量産開始は従業員1000人規模を想定している。居住地確保は。

 「東京で仕事をしている感覚で言うと札幌や苫小牧は通勤圏内。千歳だけに居住区を固定する必要はない。ただ、冬場の交通網は脆弱(ぜいじゃく)で、移動手段の冗長性、堅固性を上げてもらいたい。住むところはきっと広くなると思う」

 ―人材の確保は。

 「プラン通り進んでおり、これからも多分進む。採用したいと思う以上の応募者が常にいる。ラピダスを理解していただく方が増え、工場が実際にできてきたことが大きい。昨秋ぐらいから採用活動し、高専や工業高校にもあいさつに行き、大学を含めて『ラピダスで選択肢が増えた』『北海道にこういう産業がなかった』と応募がある。特別北海道からだけ採ろうとは考えていないが、北海道の雇用、採用は増えてくる」

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