今回、皆さんにお伝えするのは、お酒と肝臓に関してのお話です。
▽お酒で酔いが生じる仕組み
皆さんがお酒を口にされる機会はさまざまだと思われますが、体内に入ったお酒はまず2割が胃から、残りの8割は小腸からアルコールとして吸収されます。
このアルコールが脳に到達することにより、脳細胞の機能が鈍くなり酔いという状態になります。
酔いの段階としては、アルコール血中濃度が低い順に爽快期↓ほろ酔い期↓酩酊(めいてい)初期↓酩酊期↓泥酔期↓昏睡(こんすい)期と進んでいき、昏睡期では生命そのものが危機的な状態となります。
▽お酒の適量
では、どのくらいならば適量と言えるのでしょうか。一般的には純粋なアルコール量に換算して1日当たり20~25グラムが適量とされ、ビールなら400~500ミリリットル、日本酒ならおよそ1合程度となります。
これが男性で40グラム以上、女性で20グラム以上まで増加すると、肥満や高血圧などの生活習慣病にかかりやすくなり、男性で60グラム以上、女性で40グラム以上では明らかに過剰であり、アルコール肝障害を来すと言われています。
適量な飲酒を行うことにより、血液内の善玉コレステロール量増加や、ストレスのコントロールを行いやすくなるなどの利点を得られるようになります。
▽アルコールと肝臓
また一般に、お酒の飲み過ぎは、特に肝臓に悪いとよく言われますが、これは胃腸から吸収されたアルコールが肝臓で分解されるためです。
肝臓へと運ばれたアルコールは分解酵素により、アセトアルデヒドという物質に変化します。これは毒性の強い物質で、血管内で増加すると頭痛や動悸(どうき)の原因となります。
その後に酢酸を経て、最終的には水と二酸化炭素にまで分解され、吐く息や尿となって体外へと排泄(はいせつ)されます。
過剰な飲酒を長期間継続すると肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝となり、その後はアルコール性肝炎から最終的には肝硬変となってしまいます。
肝硬変にまで変化してしまうと、そこから禁酒しても元には戻らなくなってしまうので注意が必要です。
肝硬変には、出血すると生命の危機に陥ることもある食道静脈瘤(りゅう)や糖尿病、出血傾向などの合併症を伴うことがあり、脂肪肝のうちから早めの対策が重要となります。
「酒は百薬の長」という言葉もあります。身近な存在である、お酒を上手にご活用ください。














