苫小牧市新富町の小野三蔵さん(94)の長編小説「昭和・トラの海」がこのほど、ペーパーバック(紙書籍)化された。昭和の苫小牧を舞台にした自作「浜町物語」を再校正したもので、これまでは電子書籍版のみで出版されていた。小野さんは「物語はフィクションだが、作中の苫小牧の昭和史はほぼ事実。紙の本で若い人にも読んでもらいたい」と話す。
浜町物語は、浜町にあった漁場のおかみトラの一代記。昭和元年の「寅年」に生まれ、すぐに漁場の夫婦の養子になったトラが数々の逆境を乗り越え、漁協の理事長になるなどたくましく生きる姿を描く。1990年代に上下巻で発刊され、2004年に第7回日本自費出版文化賞特別賞に輝いた。
国立国会図書館に所蔵されていた本作を偶然知り、高く評価した東京の出版社・22世紀アートの後押しで昨年1月、電子書籍として再出版。電子書籍化に当たり、タイトルは昭和を全面に打ち出した「昭和・トラの海」に変更し、再校正したほか、表紙も夕日と海をイメージしたデザインに一新した。
同作はリメーク後も好評で、ペーパーバック化を同社に打診された小野さんは「読者が増えれば」と快諾。ペーパーバックは上下巻を1冊にまとめたA5判、584ページで、価格は4070円。ネット通販サイトのアマゾンで購入できる。
戦時下の苫小牧の漁業者の暮らしや洞爺丸台風、苫小牧東部開発地域(苫東)計画、千歳川放水路計画などについて調べてきた小野さんは「地域の激動の昭和史を書いた。歴史を知り、今の平和をかみしめてほしい」と語る。
小野さん宅でも10冊販売。問い合わせは小野さん 電話0144(73)6848。
















