逆境乗り越え成長 GXへの取り組み促進 株式会社苫東 辻社長に聞く

逆境乗り越え成長 GXへの取り組み促進
株式会社苫東 辻社長に聞く
苫東地域の展望などを語る辻社長

 苫小牧東部地域の産業用地の造成や分譲を行う株式会社苫東。今年で創立から25年の節目を迎えた。国家プロジェクトとしてスタートし、重厚長大型から加工組み立て産業への転換を図り、自動車や食品関連、リサイクルなど多様な業種が立地している。時代の変遷と共にクリーンなエネルギーへの変革を目指すGX(グリートランスフォーメーション)への対応にも力を入れる。同社の辻泰弘社長にこれまでの動きと今後の展望を聞いた。

 ―25周年を迎えての思いは。

 「(旧会社の破綻で)新会社ができたときは必ずしも順風満帆ではなく、むしろ逆境だった。会社がいつまでもつのか、と心配されていた。何とか5500ヘクタールの産業用地を開発して利活用しようと取り組んだ」

 「時代の変遷に合わせて、重厚長大から加工組み立てを中心としたものにターゲットを変えながら進めた。20年を経てここまでの会社になり、うれしい限りだ」

 ―企業誘致環境をどう捉えている。

 「自治体との連携がうまくいっている。企業が立地すると働く人たちのことも出てくる。道外から住む人も多く、住環境が良くないと大変だ。その点、関係市町村は住環境を意識しており、住んで良かったという声は多い。苫小牧の優位性が認識されてきているのも追い風だ」

 「もう一つ。広さはポイントだ。単に大きいということばかりではなく、近隣に住宅が少なく、ある程度拡張なども柔軟に対応できるのも立地しやすい」

 ―今後、重点化していく業態は。

 「コロナで抑え込まれていた投資が一気に動いてきた感じだ。時代によって重点化する産業は変わるが、まずはGX関連。三つの考え方があり、クリーンなエネルギーを使う企業、それをつくり出す産業、先端をいく水素やアンモニアを利活用する産業に分けられ、いずれも重要だ」

 「もう一つは、食糧の安全保障を担うエリアになるのではないか。物流の利便性も高く、国のバックアップ拠点になり得る。食に係る飼料や肥料、農業資材の分野もある。輸出を視野に置いた産業も立地している」

 ―データセンター(DC)や半導体関連への期待は。

 「半導体は苫小牧にとってもメリットの可能性はある。特に薬品などの材料は全て港を使って入ってくる。千歳で工場を建設中のラピダスがどれぐらい投資効果があるのかを見極めている状態だと思うが、ここ1、2年で(動きが)出てくるのではないか」

 「DCは今でも引き合いがある。苫東がいいのは土地の拡張ができる。(苫小牧港が)日本と北欧を結ぶ海底ケーブルの陸揚げ場所の候補にも挙がっている。DCは多くのエネルギーを使用するため、クリーンなエネルギーをどれだけ用意できるのか、という課題はあるが可能性は高いのではないか」

 ―会社の課題をどう見ているのか。

 「人材育成が必要だ。逆境から始まった会社だが、会社の哲学として国への貢献という意識が重要。それをつなげていく人材は確保していきたい」

 「老朽化してきているインフラの更新もしっかりやらないと。特に、GXに対応した港の整備は重要で、港管理組合と相談しながら進めていきたい」

 ―地域との関わりをどう進めていくのか。

 「苫東は苫小牧の中心部から離れているが、都市アメニティ(快適性)と一緒にPRしていくことが大事だ。観光資源や教育機関とも連携していくことが重要で、子どものころから苫東に触れてもらいたいと思う。地域と一体となり、もっと苫東を知ってもらう努力を続けたい」

 辻泰弘(つじ・やすひろ) 砂川市出身。1978年に道庁入り。経済畑が長く、2011年に経済部次長から社長に就任。13年6月まで就き、道庁に戻り、経済部長や副知事を歴任。22年、9年ぶりに2回目の社長に就任。苫小牧市内在住。68歳。

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