海難事故防止へ研修会 苫小牧海上交通安全協

海難事故防止へ研修会 苫小牧海上交通安全協
船舶会社担当者らが参加した研修会

 苫小牧の海事関係61団体で構成する苫小牧海上交通安全協議会は5日、海難事故を防止するための初めての安全研修会を苫小牧港湾合同庁舎で開いた。参加した船舶会社の担当者33人は、船舶の安全運航は当直者による見張りが基本であるとともに、船舶と陸上との情報共有の必要性を確認した。

研修会で国土交通省北海道運輸局苫小牧海事事務所の崎野新運航労務管理官が、いかりを降ろしていても強風で船舶が流される走錨(そうびょう)による船舶の座礁事故は、苫小牧沖で過去25年間で5回あったと報告した。海難原因の多くは見張りの不十分さであり「しっかりできていれば防げる」と主張。防止策として船長には守錨当直を必ず配置し状況を把握するよう求めた。陸上に待機している担当者は悪天候時に船長が適切に判断できるよう、入港の見合わせを促すなどの支援を説き、「船舶と陸上の双方向コミュニケーション推進」を訴えた。

 苫小牧海上保安署の林公誉専門官は、昨年9月に台風21号が上陸した際、走錨したタンカーが関西空港の連絡橋に衝突した事故を受け、苫小牧海上交通安全協議会総会で示された防止策を紹介。苫小牧沖の海底は砂が多く、いかりを降ろしても抵抗力が弱く強風で船舶が流されやすい現状を受け、以前からの独自ルール(風速15メートル以上の南寄りの風が継続的に吹いた際、錨を降ろして停泊している船舶は速やかに沖に避難)のさらなる徹底を強調した。

 参加したオーシャントランス北海道出張所の佐々木誉部長代理は「当社では苫小牧港に人員を配置し、船舶との情報交換を密にしている。改めて徹底したい」と気を引き締めていた。

 研修会は同じ内容で6日も開かれた。同協議会は今後も毎年開催する方針。

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