虐待や死別などで実の親と暮らすことができない子どもを育てる里親制度が改めて注目されている。国は家庭的な環境下での養育を重視し、里親への委託率を大幅に引き上げる方針を打ち出しており、担い手の確保が急務となっている。苫小牧市は27日、同制度を周知するイベントを開催。現状や制度への正しい理解を呼び掛け、協力者を増やしたい考えだ。10月は厚生労働省による里親月間―。
厚労省によると、虐待や親の病気、経済的困窮などの事情で親元で暮らせず、社会的な養護を必要としている子どもは全国に約4万5000人いる。大多数が児童養護施設や乳児院などの施設で生活しており、里親などへの委託率は2017年度末時点で19・7%という。
国は同年度、健やかな成長には家庭に近い環境での養育が重要とし、社会的養護を必要とする子どもを里親または定員が5、6人のファミリーホームで積極的に受け入れる方針を固めた。里親委託率の目標値は未就学児で75%以上、小学生以上は50%以上とした。
胆振、日高4市14町を管轄する室蘭児童相談所に登録する里親は18年度末時点で60世帯。17世帯を苫小牧の家庭が占めている。
社会的養護を必要とする子どもは、17年度で177人。75%の133人が児童養護施設や乳児院に入所し、里親に委託された子どもは25%の44人だった。
5年ほど前から里親を担う苫小牧市の女性(49)は、「これまでに出会った子どもたちと過ごした日々は、かけがえのない宝物」と強調。女性宅では数年前から男児(6)を里子として受け入れているが、女性の長男(26)とは年の離れた兄弟のような関係で近所の人たちも里子の成長を温かく見守っているという。
女性は「里親制度には『大変』『不幸』といったマイナスイメージが付きまとっている」と指摘。「知人から『大変だからやめておいたら』と諭されたり、『よくやるね』と言われることも少なくない」と打ち明ける。「血縁関係の結び付きによるものだけではなく、多様な家族の形が当たり前のように認められる世の中にならなければ制度の普及は難しい」と説く。
市は27日午前9時半から市男女平等参画推進センターで、NHK厚生文化事業団製作のDVD「新しい絆の作り方・里親入門」の上映会を開催。里親や元里子のインタビューのほか、地域全体で里親家庭を支える仕組みを構築し、17年度末時点の里親委託率が44%を超えている静岡市の事例も紹介する。上映時間は約2時間。
市こども支援課の担当者は「里親の成り手確保に加え、制度への正しい市民理解を深めたい」と意気込む。上映会への参加は無料。希望者は直接会場へ。
問い合わせは同課 電話0144(32)6369。
















