苫小牧市の団体職員、乾(いぬい)みやこさん(61)=ペンネーム=の短編小説「夏のおと」が、石狩管内旧厚田村(現石狩市厚田区)出身の作家子母沢寛(しもざわかん)の功績をたたえた「第2回子母沢寛文学賞」の大賞に輝いた。市民らでつくる厚田ふるさと平和・文学賞実行委員会が2016年に創設し、第1回から隔年で作品を募集しているが初回は該当作がなく、初の大賞受賞となった。乾さんは「受賞の報を聞いた時、自分でよいのかと戸惑った。今になって静かな感動がこみ上げてきている」と喜ぶ。
受賞作は、農村の夏祭りの準備を進める婦人会の人間関係を巧みな筆致で描いた。17年ごろに構想した未発表の掌編小説を膨らませた。乾さんは「農村地域の日常を想像しながら書き上げた」と話す。
02年、苫小牧市内で文章講座を主宰する森厚さんに小説の書き方を学び、市民文芸誌「苫小牧文学7号」(03年)から毎年、同誌に小説を寄稿してきた。主に日常生活の何気ない暮らしの活写を作風としている。とまみん文学賞では「胡桃」で奨励賞(03年)、「緋色の鯉」で大賞(05年)を受賞している。
働きながらの同人活動でここ数年は、休みがちだったこともあり、知人らの勧めでリハビリのつもりで賞に応募したという乾さん。「目標があると気持ちも高まった。おかげさまで知人らと受賞の喜びを分かち合うことができた」と微笑み、「別の賞に挑戦するような気持ちで今後も書き続けていきたい」と意気込みを語る。
第2回子母沢寛文学賞は、400字詰め原稿用紙30枚以下という規定の下、全国から91点が寄せられた。石狩市内の文芸関係者ら5人の選考委員が8月中旬から9月上旬にかけて審査し、10月19日に同市の厚田小で表彰式を行った。受賞作と選評が、11月末にもホームページ上で公開される予定。
子母沢寛は、江戸幕末期を中心とする歴史小説を多く手掛け、映画「座頭市」(1962年)や大河ドラマ「勝海舟」(74年)の原作で知られる。
















