カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐり、苫小牧の市民団体が誘致の是非を問う住民投票の実現を目指し、準備を進めている。IRについては人口減少時代における地域の成長戦略に掲げられる一方、カジノのギャンブル依存症など不安もあり、市民の賛否は割れている。まちの将来を大きく左右する政策について、市民が自ら判断する機会をつくろうと始まった取り組みだが、実現には大きなハードルが待ち構えている。
10月27日、苫小牧市内で開かれたまちづくりを考える市民グループ「とまこまちトーク」の会合。呼び掛け人の菊地綾子さん(55)=フリーライター=と杉本一さん(49)=団体職員=の2人が、24日に発足し共同代表を務める「IR誘致の住民投票をめざす会」について説明し、出席者に署名活動への協力を呼び掛けた。
市の条例に基づく住民投票の手法は、▽市長の発議▽議会が市長に請求▽市民が市内に3カ月以上居住する有権者(外国人を含む)の4分の1(約3万6000人)以上の署名を集めて市長に求める―の三つがある。
さらに地方自治法では、有権者の50分の1(約2900人。外国人は含まない)以上の署名に、市長の意見を加えた住民投票実施の条例案を議会に提案し、議決されれば実施できる。しかし、現状では市長や議会の了承に基づく住民投票を実現させることは厳しい情勢だ。
先月28日の市議会臨時会で岩倉博文市長は住民投票に対する見解について、IRが世界的にも新しい事業モデルであり、市民の認識に違いがあることを強調。「一定の条件の下で住民投票がなされなければ結果の意味がなくなる。したがって住民投票はなじまない」と語っている。
また、同会で審議したIR誘致に関する決議でも議長を除いた市議27人の採決が賛成19に対し、反対は8。住民投票に慎重な市議も一定数はいるとみられる。
残る手法は署名活動だが、その実現も決して容易ではない。市の条例上では3万6000人以上の署名が必要で、集める期間は1カ月以内。また、署名活動を行う「受任者」も決めなければならず、署名は専用書式に住所、氏名、生年月日、署名の日付けを原則として本人が書き入れ、押印も必要など手間がかかるためだ。
めざす会は「市民自らが判断すべきこと」として賛成派、反対派を問わずに協力を呼び掛ける方針で、受任者の集まり具合を見ながら目標署名数を決める。説明会やイベント、インターネット交流サイト(SNS)の活用なども検討中で、杉本共同代表は「多くの方から声を掛けられ、関心の高さを感じる。多くの人がIRを知る機会にもつなげたい」と話す。
誘致活動が活発化するIRだが、その是非を判断する手法についてもさらなる検討が求められている。
めざす会への問い合わせは菊地共同代表 携帯電話090(8274)6106。
















