苫小牧市内で物流倉庫の建設ラッシュが続いている。貨物の取り扱い量増加に対応するため、自社倉庫の新設や利便性の高い場所への移転などが活発化。さらなる需要増を見越して、増設を計画する企業も目立つ。苫小牧港・東港区では現在、農産品や加工食品を保管する道内最大級の大型冷凍冷蔵倉庫が来春完成に向けて建設中。収穫時期に左右されない農作物の通年出荷などの受け皿となるもので、官民挙げた食の物流拠点づくりの動きが加速している。
■岸壁改良工事や経済政策が追い風に
苫小牧港は内貿貨物量の取り扱い量が全国1位。道開発局によると2013年の1億374万トンに対し、17年は5.4%増の1億936万トン。11年から西港区商港地区の岸壁改良工事を進め、大型のRORO船(フェリー型貨物船)が接岸できるようになり、1隻当たりの輸送量が増えている。
道内の物流量増加で倉庫が不足気味―と話すのは、丸全北海道運輸(本社札幌)苫小牧営業所の若林知男所長。安定した国内の景気基調などで各種メーカーが製品生産を増やし、在庫保管のため倉庫を利用するケースもあるという。
同社は今年10月、市内新明町に建築資材や化学製品を扱う自社倉庫を新設した。親会社の丸全昭和運輸(本社横浜)は「苫小牧は港とJRがある物流の結節点で伸びしろがある。5年以内に倉庫をもう一棟新設したい」(安藤雄一常務)と意気込む。
小樽市に本社がある小樽倉庫は出光興産(本社東京)の自動車用エンジンオイルなどの潤滑油製品を取り扱う。これまでは勇払の倉庫で保管していたが、輸送ルートを効率化するため一本松町に新倉庫を建設。西港区に近くなり、陸上輸送の距離を1回当たり約7キロ短縮した。同社苫小牧支店の渡邊博史支店長は「配車の効率化でドライバー不足にも対応できる」とし、敷地内に2棟目の建設も検討している。
■大型冷凍冷蔵倉庫で出荷を平準的に
東港区弁天地区では現在、道内の農水産物や加工食品などを預かる大型冷凍冷蔵倉庫が建設中だ。苫小牧埠頭を中心に事業費70億円をかけ、新たな完成を目指している。
道は25年度までに、道内農水産物の輸出額を1500億円まで引き上げる計画。苫小牧港管理組合が今春策定した苫小牧港長期構想や市の今年度市政方針では、大型冷凍冷蔵倉庫を核に食の物流機能を強化する考えで、その実現に向けて官民で取り組みが進む。
道産農産品を取り扱うホクレン農業協同組合連合会も、収穫に合わせて偏りがちだった出荷時期を平準化でき、安定的な市場供給と輸出拡大ができると話す。
農業系のJA全農グループに属する全農物流(本社東京)も一本松町に建設。10月以降、道内のJAから米などを受け入れ始めた。市内や札幌市内の民間倉庫から自社一元管理にシフトし、低温管理機能を生かして米や大豆の通年出荷に乗り出す。同社札幌支店の金子正彦支店長は「販路拡大に向け、早期にもう1棟建設したい」と展望する。
大型冷凍冷蔵倉庫の建設を進める苫小牧埠頭の橋本哲実社長は「この倉庫の建設をきっかけに、市内への倉庫新設や企業進出が進んでくれれば」と期待を寄せている。
(報道部 伊藤真史)
















