課題山積、手探りで始動 日程前倒し案は白紙に 経費は組織委とIOC 五輪マラソン・競歩の札幌開催

課題山積、手探りで始動 日程前倒し案は白紙に 経費は組織委とIOC 五輪マラソン・競歩の札幌開催

 2020年東京五輪マラソン・競歩の札幌開催決定を受け、大会組織委員会と札幌市、道の3者による実務者会議が8日、札幌市内で始まった。五輪全般の実務面の陣頭指揮を執る組織委の武藤敏郎事務総長も同日、来道して鈴木直道知事、秋元克広市長と会談した後、候補に挙げる三つのコースを視察した。本番まで約9カ月、国際オリンピック委員会(IOC)主導で決定した唐突な開催地変更。日程、コース、経費負担など課題が山積する中、手探り状態で準備作業がスタートしている。

 ◆開催日程

 「ドーピング検査の問題もあり、閉会式がある8月9日は無理。日程は変更しなければならない」

 7日に道庁を訪れた組織委の森喜郎会長は、鈴木知事にこう語り掛けた。過去の大会で必ず大会最終日に実施していた男子マラソンの日程を、前倒しする姿勢を示した。

 ところが、翌8日に来札した組織委の武藤事務総長は、この「森発言」を一転して撤回。市役所で行った記者会見で「実は、きのう(7日)の夜、IOCから『男子マラソンはオリンピックの最終日にやるのが慣例』と連絡があった」と明かした。「ドーピング検査の問題も本当に対応できないのか。もうちょっと工夫できないのか、考えるべきだという話があった」という。

 マラソン日程前倒し案に、IOCが「待った」を掛けた格好。武藤事務総長は「きのうの話と、きょうの話が違って、大変混乱させて申し訳ない」としながらも、最終日にマラソン開催の「可能性は残された」との認識を示した。

 東京開催の当初案は、男子20キロ競歩(7月31日)から始まり、女子マラソン(8月2日)、女子20キロ競歩(8月7日)、男子50キロ競歩(8月8日)、男子マラソン(8月9日)と延べ10日間にわたって続く。一部報道で競技日程短縮案も浮上したが、組織委としては「伺っていない」と否定。「できるだけ早期に決めたい」との姿勢だが、決定時期は定まっていない。

 ◆コース設定

 武藤事務総長は8日、雪が舞う札幌で▽大通公園(中央区)▽札幌ドーム(豊平区)▽円山公園(中央区)―をそれぞれ発着点とする三つのコースを、約2時間かけて視察した。「それぞれ素晴らしい施設だが、デメリットもある」と指摘した。

 前日に森会長が採用に否定的な見解を示した札幌ドームについては「かなり改修しなければならず、コストがかさむのでは」と語り、円山公園についても起伏があって競歩に不向きで「マラソンと競歩が別会場となり、投資も運営体制も2カ所になる」と懸念。北海道マラソンのコースとなっている大通公園については「同じ夏の時期に地元にとって大変重要なイベント(大通ビアガーデン)があり、どのように調整するか、大きな課題が残される」と述べた。

 組織委では、12月3~5日に開催予定のIOC理事会で、スタート・ゴール地点の会場案の承認を得たい意向。「この理事会開催の時期を逃すわけにいかない」(武藤事務総長)。実務者会議での協議を加速させる構え。ただ、具体的なコース全体については「理事会で決まるのは発着点。コースは必ずしも承認事項ではない」としながらも、「同時にコースや日程も決めることができれば望ましい」との姿勢だ。コースについては来年1月に「仮計測」(図面上で計測)、雪解けを待って4月に実際の「本計測」を予定している。

 ◆経費負担

 鈴木知事と秋元市長が組織委側に強く求めているのが、マラソン・競歩札幌移転に伴い発生する経費負担問題。鈴木知事は7日の森会長との会談で「東京都が負担しないことが決まった。ならば組織委員会が負担することが基本。ボタンの掛け違いのないように」と、くぎを刺した。森会長も「北海道にご迷惑は掛けない」と応じた。

 8日に開いた実務者会議で、組織委側は1枚のペーパーを出席者に配った。経費負担の基本原則として▽大会経費は組織委員会・IOCが負担する▽行政経費は北海道・札幌市が負担する―との内容。行政経費とは「一般的な市民生活のための道路の補修など」を指すという。三者でこの経費負担案で合意した。

 ただ、東京都の負担分を組織委とIOCが負担する内容だが、IOC側との協議は「まだ十分にされていない」(組織委)。大会経費をめぐり、協議がなお揺れる可能性もある。

(札幌支社・広江渡)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る