第54回夏休み読書感想文コンクール(4)中学生の部・最優秀賞「もう、繰り返さない」―苫小牧明倫中2年嵐田佐和子

第54回夏休み読書感想文コンクール(4)中学生の部・最優秀賞「もう、繰り返さない」―苫小牧明倫中2年嵐田佐和子

 公開討論会を開催したアメリカの高校生八人は、平和を強く願っている。戦争と平和について、こんなにも考え、交流し合える八人が、私には羨ましく思えた。

 私は、今ある「平和」を当たり前のようにとらえてはいないだろうか。世界で唯一の被爆国・日本で生まれ、育ってきたのにもかかわらず、私は原爆について考えたことがなかった。小学生の時の社会の授業で習った程度だ。原爆は本当に必要だったのだろうか。

 毎日、おいしいご飯を食べられること。学校に通えていること。家族で過ごせていること。今当たり前なことを奪った原爆を、私は必要だとは考えられない。

 八人は、原爆肯定派と否定派に分かれて、原爆の是非を問う。肯定派は「平和を実現するための原爆だった」と主張する。平和を考えての原爆ならば、肯定すべきなのかもしれない、と私の気持ちは揺らいだ。しかし、原爆投下によって戦争は終わらなかったと知り、ただ犠牲になった人が増えたのでは、やはり原爆は必要なかったのだ、と思えた。

 否定派は「罪のない一般市民が亡くなった」と主張する。これに対し、肯定派は犠牲になった人には罪があった、という。私は、この主張に大きな疑問を抱いた。罪がある・ないにかかわらず、こんなにも人を簡単に殺してもいいものなのだろうか。罪がある人には、何をしてもいいというのだろうか。どんな人でも、命を奪うことはしてはいけないと思う。たとえ原爆によって戦争が終わり、平和になったとしても、多くの犠牲者がでた原爆を、私は肯定することはできない。

 原爆が投下された太平洋戦争を始めたのは日本だそうだ。戦争をしかけられて、受けて立つしかなかった。本当にそうだろうか。ケンカを売られたようなもの、それ以上のものだから、苛立つのは当たり前だと思う。けれど、多くの犠牲者が出ると知っていながら、原爆を投下するのは、私にはできない。平和的に解決する方法は他にあったように感じる。

 原爆を投下した本当の目的は、平和の実現ではなかった。強いアメリカを国民・世界に見せつけるため。そうメイは言った。本当かはわからないけれど、だからアメリカはあえて多くの人が亡くなる原爆を選んだと考える。

 私は、この本を読んで「原爆」について「戦争と平和」について、もっと詳しく知りたいと思った。今まで見ようともしなかった、原爆に関するテレビ番組を見た。映像として映るものは、あまりにも残酷だった。今の私と同年代、もっと幼い子供たちが大切にしたものが、映し出されていた。可哀相で仕方がなくて、原爆が許せなくて、涙も出ず、ただ怒りが込み上がる自分がいた。犠牲になったのは、日本人だけではない。原爆を投下したアメリカ。その国で生まれたアメリカ人も犠牲になったそうだ。原爆というのは、無差別であったと改めて教えられた気がした。

 肯定派、否定派に関係なく、八人は何よりも平和を願っている。それなのに原爆の捉え方が違うのは、平和が原爆によって訪れたかどうか、この考えが違うからだと考える。私は、原爆によって平和が訪れたとは思わない。アメリカが原爆を投下した本当の理由は、今となってはわからない。メイが言ったことも予想だ。けれど、私には、多くの人が犠牲になった「原爆」を「平和」には、結びつけることができない。

 原爆が必要であったか、そうでなかったか問われれば、私は必要でなかったと答える。公開討論会での、肯定派の主張には、あまり同意できなかった。同意したくなかったのかもしれない。どんな主張でも、原爆を投下していい理由にはならないのではないか、と考えるからだ。

 今、私は平和に過ごすことができている。八人は、その「平和」を大前提に公開討論会を進めていた。しかし私は、平和こそが世界共通の目標だと思う。原爆は、日本とアメリカの問題かもしれないけれど、平和については、世界の中で考えていかなければならないことではないだろうか。世界で暮らす全員が、平和と言えるようになるまで、今の平和を当たり前に考えてはいけない、と考える。

 原爆について、私が一つだけ言えること。それは、罪があってもなくても、原爆によってたくさんの命が失われたこと。犠牲になった人々には家族がいた。友達がいた。人の命を軽く見すぎていたのではないだろうか。

 「もう、繰り返さない」本でも出てきたこの言葉。過去はもう変えられない。けれど、未来は変えられる。私も八人のように、原爆について、戦争と平和について、考えていきたい。そして、強く誓う。戦争を、原爆投下を、もう二度と繰り返さない。(おわり)

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