白老町竹浦在住の田湯加那子さん(36)の色鉛筆画が先月、仙台市で開催された「東北障がい者芸術全国公募展」で最高賞の大賞・東洋ワーク賞を受賞した。人物をデフォルメして描いた線画の上に、色鉛筆で紙いっぱいに色を塗り重ねた感性と迫力に満ちた力作。公募展への出品は初めてで、家族をはじめとする関係者も初チャレンジでの快挙を喜ぶ。
同公募展は、公益社団法人東北障がい者芸術支援機構が主催。障害を持つ人たちの表現活動サポートなどを目的に2015年に始まり、5回目を迎えた。
従来は東北6県の在住者から作品を募ったが、今年から全国公募展に。同機構の公募展事務局によると、今年の応募総数は850点で、美術家や洋画家など芸術分野の専門家5人が審査した。
写真・書類選考で136点の入選作品を決め、10月16日に現物を集めた2次審査を実施。大賞を含む受賞31点を決定し、受賞・入選作品を10月17~20日、仙台市内の公募展会場に展示した。
広汎(こうはん)性発達障害と重度の知的障害を抱え、自らの思いを言葉で表すことが苦手という田湯さん。幼い頃から心に残った出来事などを絵で表現しており、近年はアニメキャラクターやアイドル歌手、花、野菜などを題材に色鉛筆画を手掛けてきた。
独創的な作品は障害者芸術の分野で高く評価され、道内外の芸術祭の出展作家に選出されてきた。17年秋にはフランスのナント市で開かれたアールブリュット展で、国内の出展作家42人のうちの1人に選ばれている。
今回、初めて公募展に出品したのは表紙を含め42ページのスケッチブック。タイトルは「 」(無題)。以前の画風と異なり、人物を三角形や四角形などにデフォルメして描き、その上から色鉛筆で縦や横に無数の線を走らせた。
線を重ねる中で生まれる奥深さやダイナミックさ、鉛筆の摩擦でぼろぼろに破れ、朽ちてしまった紙が生み出す独特の質感など、見る者の感性に訴え掛けるような壮大の世界観が1冊のスケッチブックに凝縮されている。
17年の第3回公募展に、招待作家として参加した縁で応募したが、母親のひろみさん(61)は「当初、出展は考えていなかった。さまざまな人の後押しを受け、自宅にある何十冊ものスケッチブックの中から選んだ1冊」と言う。
10月20日に公募展会場で行われた表彰式には、田湯さんも出席。多くの関係者が見守る中、堂々と臨んだ。ひろみさんは「娘が1人の作家として認められ、存在感を発揮していることがとてもうれしい」と喜ぶ。
田湯さんが所属する「いけまぜアトリエ」を主宰するとまこまい脳神経外科の副院長で、小児脳神経外科医の高橋義男さん(70)は「絵を描き続けることで、加那子さんの存在が社会の中で認知されるようになった。その姿は他の障害児らの大きな刺激になるのでは」と語った。



















