鈴木直道知事がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を見送った29日、優先候補地の苫小牧市では衝撃が広がった。市民はそれぞれの立場で知事の判断を受け止め、期待の大きさから落胆したり、悪影響への懸念から歓迎したりと反応はさまざま。まちで市民の声を聞いた。
日吉町の飲食店経営、尾形正博さん(36)は「誘致に賛成だった」とがっかりした様子。「雇用が生まれ、地域経済のためになると思っていた」と残念がり「環境問題は始めから分かっていたはず。国際的な観光産業誘致におけるマイナスイメージになったのでは」と語る。
桜木町の会社役員西村知行さん(43)も「IR誘致はまちの起爆剤になるはずだった」と強調。「市や市議会はまちのためを考えてやってきたが、道の判断で希望の一つが消えた」と憤り「道や道議会にはまちの衰退をどう防ぐのかしっかり示してほしい」と訴えた。
IRによる地域活性化に期待していた地域住民は少なくなく、植苗の農業丹羽秀則さん(72)も「知事のリーダーシップのなさにがっかりした」と落胆。高齢化や人口減が進む中、「地域として誘致推進に同意する意思を示していた。税収が上がれば道内全体の活性化にもなったはず」と悔しがる。
一方、ギャンブル依存症などの悪影響を懸念していた市民は歓迎。美園町の主婦宮脇惇子さん(75)は「カジノ構想に不信感を持っていた。見送り表明は朗報」とし「もっと多くの市民の声を聞き、じっくり考える場がほしい。苫小牧の未来を決める大きな判断だった」と話す。
東開町の主婦小林恵さん(46)は「経済的にはIRはあった方がいいのかもしれない」と一定の理解を示しつつ「子どもを育てる親目線ではギャンブル施設はない方がいいと思っていた。仮に植苗に施設が建てば沼ノ端地区への影響も大きかった。ほっとした」と言う。
三光町の久保章一さん(68)は「IRに反対ではない」とした上で、「苫小牧が先走ったようにしか思えない」と市や市議会の姿勢に疑問を投げ掛けた。「IRを持続的に運営できるのか疑問だった。いろいろ分からないまま進まなくてよかったのでは」とも。
若者たちもIRや知事判断に関心を寄せた。苫小牧南高2年の井川宜誉さん(17)は「苫小牧の魅力が一つ増えるという点で誘致に賛成だった」としながら「希少動物の生息も、北海道の魅力。生態系に配慮した見送りであるならば判断は正しいと思う」と述べた。
賛否の枠を超え、知事の判断に一定の理解を示す声もある。
子育て中という緑町の主婦森友香さん(35)は「多数の関係者が正、負両面からさまざまな検討を進めて至った結論。道民は冷静に受け止めるしかない」。錦町の商店経営、山口敏彦さん(75)も「どんな開発にもメリット、デメリットは必ずある」と指摘。「IRを呼び込むことができれば、地域経済の活性化につながると期待していたが市民にとって最良の判断であるなら、これでよかったのでは」と話した。
















