アフガン支援中、死亡した中村哲さん 2008年に来苫し講演―市内からも惜しむ声 「平和への思い受け継ぐ」

アフガンの現状を語る中村哲さん=2008年6月、苫小牧市文化会館

 アフガニスタンで武装集団に襲撃された非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師中村哲さん(73)の突然の訃報に、苫小牧市内でもゆかりの人たちから惜しむ声が相次いでいる。中村さんは2008年6月、市内で講演し、水不足に苦しむアフガンの現状や用水路建設に関わった経緯などを語り、活動への支援を呼び掛けた。主催した市民団体「ぴーすぷろじぇくと苫小牧」のメンバーらは「中村さんの思いを伝える活動を続けたい」と口をそろえる。

 平和運動を展開するぴーすぷろじぇくと苫小牧共同代表の石塚茂子さん(70)、榎戸克美さん(73)は、山岳無医村で診療活動を続けながら、より多くの人命を病気や貧困から救おう―と砂漠で水を供給する用水路建設に着手した中村さんの熱意に感銘。苫小牧での講演を打診した。

 中村さんは講演で「必要なのは爆弾でなく清潔な水。小さな協力でも集めれば大きな優しい川になる。皆さんと力を合わせ、事業を進めたい」と支援を訴えていた。

 中村さんの来苫をきっかけに石塚さん、榎戸さんはペシャワール会の会員となり、運営をサポートした。講演の3カ月後、ペシャワール会の伊藤和也さんが武装集団に殺害される事件が起きると、ぴーすぷろじぇくとは同年10月と10年7月に市内で伊藤さんの追悼写真展を企画。同会の活動を改めて市民に発信した。

 現地の近況を伝える今年10月4日付のペシャワール会の会報には、治安の悪化で手が付けられなかったアフガン東部の用水路の本格改修にようやく取り掛かれる喜びがつづられていた。中村さんは次の事業に向け、「職員一同の悲願達成(略)気合いを入れて臨みたい」と決意を述べていた。

 石塚さんは「貧困と環境の問題に医療従事者として真剣に向き合ってきた人物」と回顧。「会報などで『あと20年は現地と関わりたい』と言っていただけに残念でならない。武力に頼らない国際貢献という意志を受け継ぎ、工事がストップしないよう支援を続けたい」と話す。

 榎戸さんも「中村さんとは同じ年で、共に次世代に平和への思いを伝える重要な役割を担っていると感じていた」と強調。「平和の『和』は穀物(禾)をみんなで口にすると書く。平和を分かち合うのに武力は必要ないということを行動で示してきた人だった」と語る。涙をにじませながら「中村さんの残した思いを伝える活動を支えていきたい」と力を込めた。

 同じくペシャワール会の会員で、植苗病院柳町診療所院長の望月紘(ひろし)さん(75)も「何度か苫小牧にも足を運んでもらい、(九州大学の)同窓生として誇りに思っていた。立派な方であり、残念でならない」と死を悼んだ。

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