スポーツ回顧【上】 2019―「受け継がれる伝統」 全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)北海道予選会

スポーツ回顧【上】 2019―「受け継がれる伝統」 全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)北海道予選会
ウインターカップ道予選で試合を決めたシュートを放つ北海道栄の齋藤。ボールはリングに吸い込まれ1点差の劇的な勝利をもたらした=11月2日、苫小牧東高体育館

 今年撮った写真をスクラップをめくりながら振り返ると、試合の勝敗を分ける決定打を捉えた写真があった。11月2~4日に苫小牧で開催された全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)北海道予選会の女子Bブロック2回戦、北海道栄―恵庭南の1戦だ。道栄は1点ビハインドの第4クオーター残り10秒を切ったところで、齋藤彩華が放ったジャンプシュートが決まり、見事逆転に成功した。そのまま逃げ切り道栄が勝利を手にした。

 劇的な試合の立て役者となった齋藤のシュートシーンを写真に収めることに成功した。会場の興奮は最高潮に達したことは言うまでもないが、カメラを持つ自分の手も震えていたのを今でも覚えている。

 道栄はその後のブロック決勝で北星女子に敗れ、4強入りを逃した。3年生にとっては高校最後の舞台。涙を流しながらたたえ合う選手の表情には、同時に笑顔をのぞかせていたことが強く印象に残っている。

 創部4年目の道栄はチームの急成長ぶりを見せ付けた。主将の佐藤憂菜は「チームとして一つになれた」と涙ながらに語った。

 道栄は、リバウンドなどで優位性がある高身長のプレーヤーが少ない「スモールラインナップ」。スリーポイントシュートで効率よく得点を稼ぐ、近年主流となってきているバスケットのスタイルを採用している。同時にディフェンスで相手にプレッシャーを掛けてミスを誘う。「泥臭いバスケを貫いた」と木村匡宏ヘッドコーチがたたえるように、道栄の女子バスケットに伝統が着々と築かれつつある。

 目標を全道4強に照準を合わせる道栄。達成の日は近いと強く感じさせた大会だった。佐藤の後を継いで新主将に就いた今井瞳花は道予選の試合終了後、「来年こそ4強」と先を見据えて口にした。

 3年生は引退したがチームカラーは変わらない。今月の新人大会苫小牧地区予選でもその強さを誇示した。従来のスタイルに加えインサイドで活躍できる選手が躍動。新たな武器になる予感を与えた。

 八村塁のNBAドラフト上位指名で日本バスケ界に衝撃を与えた2019年。競技の盛り上がりは一層増すことが期待される。バスケに限らずスポーツ競技は、世代を問わず愛好者が増えることで競技力が高まる。来年もスポーツの魅力を分かりやすく伝える報道を心掛け、競技普及の一助となりたい。(石井翔太)

    ◇   ◇

 この1年も苫小牧を中心にさまざまなスポーツ行事や競技者たちの熱い闘いを紙面で伝えた。本紙のスポーツ担当記者が、印象に残った出来事を振り返る。(3回連載)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る