支笏湖 湖沼部門で 水質2位に-豊かな水が育む自然

日本最北の不凍湖、支笏湖

 新年明けましておめでとうございます。昨年末、支笏湖にとって少しだけ残念なニュースがありました。

 環境省において2018年度における公共用水域の水質測定結果が公表され、湖沼部門で支笏湖が2位となりました。07年度から11年続いていた水質日本一でしたが、とうとう途切れてしまいました。

 順位は下がったとはいえ、決して水質が悪くなったわけではありません。水質の指標となるCOD(化学的酸素要求量)の値は前年度と変わらない値でした。

 1位となったのは秋田県の田沢湖。前年度は支笏湖と同点1位となっていました。田沢湖はかつて強酸性の河川を湖に引き込んだことで、クニマスなど多くの生物が死滅したそうですが、現在は水質改善に力を入れているとのこと。ここは素直に田沢湖の努力をたたえたいと思います。

 ちなみに、支笏湖には他にも国内2位のものが二つあることはご存じでしょうか。

 一つは水深。最大水深360メートルは前述の田沢湖に次ぐ2位となっています。もう一つは貯水量です。1位は国内最大の湖である滋賀県の琵琶湖。支笏湖は琵琶湖の8分の1ほどの面積しかありませんが、深さ故に琵琶湖の8割弱の貯水量を誇ります。尽きることのない豊かな水資源が多くの生き物の命を育み、私たちに恵みをもたらしてくれています。

 さて、24日には今年で第42回となる「2020千歳・支笏湖氷濤まつり」が開幕。25日には、かつて苫小牧と支笏湖を結んでいた鉄道をジオラマや映像で紹介する「王子軽便鉄道ミュージアム・山線湖畔驛(えき)」が支笏湖畔パークハウスの展示を全面リニューアルし、新たにオープンします。

 水質同様、支笏湖にはたくさんの人たちによって守り継がれてきたものがあります。これら支笏湖ならではの魅力を大事にしていきたいものです。

(支笏湖ビジターセンター自然解説員、小野寺裕太)

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